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Agents & Manager/2026-06-22上級

並列エージェントの同時実行数を固定しない — 観測した詰まりから自動で増減させる設計

Antigravity 2.0 で複数エージェントを並列に走らせるとき、同時実行数を固定値で決め打ちすると昼は429で詰まり夜は能力を遊ばせます。TCPの輻輳制御に学んだ適応制御(加法的増加・乗法的減少)で、詰まりの兆候から同時実行数を自動で増減させる設計を、動くPython実装と実測の所感つきでまとめました。

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夜間に静かに走らせている並列エージェントが、朝の自分の作業と重なった瞬間に 429 Too Many Requests を吐き始める。これは、同時実行数を一つの固定値で決め打ちしたときに、ほぼ必ず通る道です。

固定値は二重に外れます。低く取れば、誰も使っていない深夜にエージェントが順番待ちで遊んでしまいます。高く取れば、自分が同じアカウントで対話している昼間にクォータを食い合い、下流のAPIが詰まります。どちらに寄せても、片方の時間帯で間違えるのです。

ここで扱うのは、同時実行数を「固定して守る」のではなく「観測して動かす」設計です。題材はAntigravity 2.0 の並列エージェントと Managed Agents API ですが、考え方はどのエージェント実行基盤にもそのまま移せます。

固定した同時実行数は、たいてい間違っています

まず、固定値が外れる構造を具体的に置いておきます。あるワークロードで、同時実行数を 6 に固定したとします。

時間帯下流の余裕同時実行 6 の結果
深夜(自分は不在)大きい能力を遊ばせる。10 でも 12 でも捌けたはず
夕方(自分も対話中)小さいクォータを共有して食い合い、429 が連鎖する
大型更新の直後読めないレイテンシが伸び、6 でも詰まることがある

固定値はこの表のどの行に最適化しても、他の行で外れます。しかも「正解の同時実行数」は、自分の在席状況・クォータの残量・モデル側の混雑という、こちらが制御できない要因で刻々と変わります。動く標的に固定値を当てようとすること自体が、設計の誤りなのです。

なぜ「ちょうどいい同時実行数」は止まっていないのか

Antigravity 2.0 は Gemini 3.5 Flash を中心に、計画・コード生成・ブラウザでの実機テストを複数エージェントで並行させます。Flash が速いほど、単位時間あたりに下流へ投げる要求の密度が上がります。つまり、エージェントが賢く速くなるほど、同時実行数の上限はシビアになります。

さらに Managed Agents API は、単一の呼び出しで隔離環境のエージェントを起動できます。起動が手軽だからこそ、こちらが無自覚に並列度を上げてしまい、共有クォータの天井に頭をぶつけやすくなります。

ここで効くのが、ネットワークの世界で何十年も使われてきた発想です。TCP は回線の帯域を事前に知りません。少しずつ送信量を増やし、パケットの損失という「詰まりの兆候」を見たら一気に絞る。この繰り返しで、実際の帯域に追従し続けます。エージェントの同時実行数も、同じように「観測しながら追従する量」として扱えます。

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この記事で得られること
同時実行数を固定値で持つのをやめ、429やクォータ警告という「詰まりの兆候」を観測して自動で増減させる適応コントローラを、asyncioで動くPython実装としてそのまま組み込めます
TCPの輻輳制御で実証済みの加法的増加・乗法的減少(AIMD)を、Managed Agents API や並列エージェントの呼び出しに翻訳し、増やしすぎ・減らしすぎを防ぐ実数値の決め方まで示します
固定の上限を守るバックプレッシャー設計との違いと、両者をどう重ねるかを整理し、複数サイトの自動運用を並走させた実体験から「ちょうどいい同時実行数は動き続ける」という前提を共有します
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