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Antigravity 基本/2026-06-12中級

Antigravity をプロキシの内側で動かす — 企業ネットワーク・SSL検査・移動先Wi-Fiを乗り越える接続設計

企業プロキシ・SSL検査・移動先のホテルWi-Fiなど制限ネットワークで Antigravity が沈黙する原因をレイヤー別に切り分け、証明書・NO_PROXY・接続プロファイルを安全側の設定で乗り越えるための実践ノートです。

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2025年、海外での展示に参加するため滞在していたホテルで、それまで快調に動いていた Antigravity のエージェントが突然沈黙しました。チャットは「送信中」のまま戻らず、タブ補完だけがときどき思い出したように働く。半日かけてたどり着いた原因は、ホテルの回線に挟まっていた透過型プロキシでした。HTTPS の一部だけが静かに書き換えられていて、ストリーミング接続だけが選択的に死んでいたのです。

接続トラブルの厄介さは、「ネットワークが悪い」という一言ではくくれないところにあります。Antigravity は認証、モデル API、エージェントのツール実行、拡張機能の更新といった性質の異なる通信を同時に張っていて、プロキシはそのうちの一部だけを壊します。結果として「補完は効くのにエージェントが動かない」「サインインだけが通らない」という中途半端な壊れ方になり、原因の見当がつけにくくなります。

私は2005年に独立する前、NTT データで企業ネットワークの内側から開発していた時期があります。プロキシと認証サーバーの機嫌をうかがいながら開発する感覚は、当時も今もあまり変わっていません。違うのは、いまの私が展示会場とホテルを移動しながら個人開発のアプリ群をメンテナンスし続けている点です。以下では、その両方の経験から少しずつ固まってきた「制限ネットワークで Antigravity を止めないための接続設計」を書いていきます。

Antigravity の通信は一本道ではない — 止まり方からレイヤーを逆引きする

Antigravity が外と話す経路は、私が観測している範囲で大きく5つに分かれます。

  • 認証系: Google アカウントのサインインと OAuth コールバック。IDE 内ではなく既定ブラウザを経由するため、IDE とブラウザが別々のプロキシ設定を見ているとここだけ失敗します
  • モデル API: Gemini などクラウドモデルとのやり取り。応答はストリーミングで届くため、長生きする HTTPS 接続を嫌うミドルボックスに最初に殺されます
  • エージェントランタイム: ツール実行で子プロセスとして起動される git・npm・curl 類。これらは IDE の設定画面ではなく環境変数を見ます
  • 拡張機能・更新系: マーケットプレイスと自動更新。失敗しても当日の開発は続けられますが、放置すると古い拡張が別の不具合を呼び込みます
  • ローカル LLM: Ollama や LM Studio への localhost 通信。ここは逆に、プロキシを「通ってはいけない」経路です

この5分類を頭に置くと、症状からレイヤーを逆引きできるようになります。

  • サインインだけ失敗する → 認証系。ブラウザ側のプロキシ設定と食い違っていないか
  • チャットが「送信中」のまま固まる → モデル API。ストリーミングがプロキシに切られている可能性
  • 最初の応答は来るのに途中で切れる → プロキシのアイドルタイムアウト。長文生成ほど切られやすい
  • エージェントのコマンド実行だけ失敗する → 環境変数が IDE に渡っていない
  • 直結環境では見えていたローカルモデルが見えない → NO_PROXY の不備
  • 何もかも繋がらない → キャプティブポータル未認証か DNS

私はこの対応表を作ってから、初見のネットワークで原因特定にかける時間が半日から10分前後まで縮みました。次のセクションで、その10分の中身を手順にします。

最初の10分でやる診断 — 現在地を5つのコマンドで確認する

設定をいじり始める前に、いまどのレイヤーで止まっているかを確かめます。闇雲に設定を変えると、直った理由も壊れた理由も分からなくなるからです。観測を先に、変更を後に。これは順番の問題ではなく、復旧時間を左右する分岐点です。

# (1) 環境変数にプロキシが入っているか — 「誰がプロキシを名乗っているか」の確認
env | grep -i proxy
 
# (2) キャプティブポータルに捕まっていないか — 204 が返れば素通りできている
curl -s -o /dev/null -w "%{http_code}\n" --max-time 5 \
  http://captive.apple.com/hotspot-detect.html
 
# (3) モデル API 系へ素の HTTPS が通るか・誰が証明書を出しているか
curl -sv --max-time 10 https://generativelanguage.googleapis.com -o /dev/null 2>&1 \
  | grep -E "issuer:|HTTP/"
 
# (4) プロキシ経由を明示すると通るのか(社内で配られている値を入れる)
curl -sv --max-time 10 -x http://proxy.example.co.jp:8080 \
  https://generativelanguage.googleapis.com -o /dev/null 2>&1 \
  | grep -E "CONNECT|issuer:|HTTP/"
 
# (5) ローカル LLM が生きているか — プロキシとは無関係に直結で返るべき
curl -s --max-time 3 http://127.0.0.1:11434/api/tags | head -c 120

(2) は Apple がキャプティブポータル検出に使っている素朴な HTTP エンドポイントで、204 以外(302 や、200 なのに HTML が返る等)なら、回線が壊れているのではなくまだホテルの同意画面を通過していません。ブラウザを開いて認証するのが先です。

(3) の出力で私が最初に見るのは issuer の行です。

# 直結できている環境の例 — 発行者が公的 CA
issuer: C=US; O=Google Trust Services; CN=WR2
 
# SSL 検査型プロキシの内側にいる例 — 発行者が見知らぬ社内 CA に化ける
issuer: O=ExampleCorp Security; CN=ExampleCorp TLS Inspection CA

issuer が見知らぬ名前になっていたら、その回線は HTTPS を復号して検査しています。後述の証明書対応が必須で、ここを飛ばしてプロキシ設定だけ変えても直りません。

(5) が応答しない場合は、Ollama 側の問題とプロキシ巻き込みの2通りがあります。Ollama 自体の診断は Antigravity でローカルLLM(Ollama)が接続できない・認識されないときの診断ガイド に書いたので、ここでは「プロキシ環境変数が立っているときほど (5) を疑う」とだけ覚えておいてください。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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会社のプロキシ配下で Antigravity が無応答・証明書エラーになる原因を、5つの通信レイヤーに分けて自力で特定できるようになる
SSL検査・認証付きプロキシ・キャプティブポータルそれぞれに対する安全側の設定(NODE_EXTRA_CA_CERTS・ローカル中継・NO_PROXY)を実装できる
ホテルWi-Fiやテザリングでも開発が止まらない、ローカルLLMフォールバック込みの接続プロファイル運用を自分の環境に組み込める
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