Antigravity でローカル LLM を使う場面は、プライバシー要件のあるプロジェクトや、API コストを気にしたい個人開発で特に多くなります。Ollama より UI の使いやすさで LM Studio を選ぶ方も増えているのですが、いざ Antigravity から接続しようとすると「モデル一覧が空」「接続タイムアウト」「突然ストリームが切れる」といった症状に遭遇することが多く、公式ドキュメントに書かれている手順だけでは解決できないケースがよくあります。
私自身、個人プロジェクトで LM Studio を Antigravity に繋ぐ作業を何度もしてきました。その中で気付いたのは、この接続問題のほとんどが「どの層で繋がっていないか」を最初に切り分けないまま設定をあちこち触ることで、かえって復旧が遠のくという構造になっていることです。ここではポート・CORS・モデル可視性の 3 層で順番に切り分け、症状ごとに正しい対処ができるように整理します。
最初に確認すべき「LM Studio サーバーの健康状態」
Antigravity 側の設定を見直す前に、LM Studio 自体が OpenAI 互換 API サーバーとして動作しているかを確認します。これが動いていないと、Antigravity でどれだけ設定を変えても繋がりません。
LM Studio のメイン画面で左側メニューの「Developer」タブを開くと、OpenAI Compatible Server のトグルが表示されます。ここが Start になっているかを確認してください。デフォルトのポートは 1234 で、エンドポイントは http://localhost:1234/v1 になります。
サーバーが動いていることを確認する最も早い方法は、ターミナルから直接叩いてみることです。
curl http://localhost:1234/v1/models正常なら、現在 LM Studio にロードされているモデル一覧が JSON で返ってきます。ここで空配列({"data": []})が返る場合、LM Studio にモデルがロードされていません。後述の「モデル可視性の問題」に進んでください。
接続自体が拒否される場合は、ポート設定かファイアウォールの問題です。
症状 1: Antigravity のモデル一覧が空になる
Antigravity の設定画面で LM Studio のエンドポイントを入れたのに、モデル選択プルダウンが空のままという症状です。原因は大きく 3 つに分かれます。
原因 A: LM Studio 側でモデルがロードされていない
LM Studio は「ダウンロード済みモデル」と「現在ロードされているモデル」が別管理です。サーバーが返すモデル一覧には、現在メモリにロードされているモデルしか出ません。
解決策は、LM Studio の「My Models」からモデルを選び、「Load」ボタンを押してメモリに載せることです。ロードが完了したら、Antigravity 側で「Refresh models」(または設定の再読み込み)を実行してください。
原因 B: エンドポイント URL の末尾が間違っている
Antigravity の設定で、エンドポイントを http://localhost:1234 のように入力しているケースです。OpenAI 互換 API は /v1 サフィックスが必要なので、http://localhost:1234/v1 と入力する必要があります。
原因 C: ループバック IP の表記揺れ
localhost、127.0.0.1、0.0.0.0 のどれで LM Studio を起動しているかと、Antigravity 側のエンドポイント設定が一致していないと、OS やネットワーク環境によっては繋がりません。
LM Studio の Server 設定で「Server Host」を確認してください。ここが 127.0.0.1 なら、Antigravity 側も http://127.0.0.1:1234/v1 にします。ホスト名での解決を期待するのは避けた方が確実です。
症状 2: 接続はできるが応答が途中で切れる
モデル一覧は見えていて、最初の数トークンは流れてくるのに、長い応答の途中でストリームが切れる症状です。これは大抵の場合、LM Studio 側のコンテキスト長設定 か、Antigravity 側のタイムアウト のどちらかが原因です。
LM Studio の Server タブで、モデルの Context Length 設定を確認します。モデルがサポートする最大コンテキスト長より、実際のロード設定が小さいと、長い会話やコードベースを扱ったときに中間で停止することがあります。可能な範囲で広めに設定し直してください。
Antigravity 側では、ローカル LLM エンドポイントに対するストリーム読み取りのタイムアウトが存在します。長文生成が頻繁に切れる場合、設定(.antigravity/config.toml や UI の Advanced 設定)で stream timeout を伸ばすと安定します。
症状 3: CORS エラーで Web 版 Antigravity から繋がらない
ブラウザ版の Antigravity から直接 LM Studio に接続しようとすると、ブラウザ DevTools のコンソールに CORS preflight 関連のエラーが出ることがあります。
LM Studio の Server 設定に「Cross-Origin Resource Sharing (CORS)」のトグルがあり、これが Off になっているとブラウザからの直接アクセスは弾かれます。On にしてサーバーを再起動してください。
ただし、本番運用でローカル LLM をブラウザから直接叩くのはセキュリティ上推奨されません。通常は Antigravity のデスクトップ版を使うか、サーバーサイドでプロキシする構成にするのが適切です。
症状 4: Windows 環境でのみ繋がらない
Windows でよくあるのは、Windows Defender Firewall が LM Studio のポートへのアクセスをブロックしているケースです。LM Studio 初回起動時に許可ダイアログが出るはずですが、うっかり拒否するとその後ずっと接続できません。
「Windows セキュリティ → ファイアウォールとネットワーク保護 → アプリにファイアウォールの通過を許可」から、LM Studio の許可状態を確認し、必要なら「プライベート」をチェックして再起動します。
WSL 内で動く Antigravity から、Windows ホスト側の LM Studio に繋ぐ構成の場合、localhost ではなく host.docker.internal や Windows ホストの実 IP を使う必要があります。これは Linux / macOS ネイティブの感覚とは違うので注意してください。
症状 5: Mac で Metal アクセラレーションがうまく効かない
Apple Silicon 搭載 Mac で LM Studio を動かしているのに、推論が極端に遅い場合があります。LM Studio の Settings → Hardware で「Metal」が有効化されているか、GPU レイヤー数が適切に割り当てられているかを確認してください。
GPU レイヤーを 0 に近い数にしていると、CPU だけで推論することになります。Apple Silicon の M シリーズチップでは、モデルサイズに応じて n_gpu_layers を最大付近(モデルによっては -1 で全レイヤー GPU)にするのが最速です。
復旧チェックリスト
Antigravity と LM Studio の接続で困ったら、次の順序で確認するのが最短です。
- LM Studio 側のサーバーは Start 状態か
curl http://localhost:1234/v1/modelsで直接モデル一覧が取れるか- モデルがメモリにロードされているか
- エンドポイント URL の末尾が
/v1か localhost/127.0.0.1/0.0.0.0の表記が両側で一致しているか- Windows の場合、ファイアウォールで LM Studio が許可されているか
- ブラウザ版 Antigravity の場合、CORS が LM Studio 側で有効か
- 長文生成が切れる場合、Context Length と stream timeout が十分か
このチェックを順に回せば、LM Studio 接続のトラブルはほぼ自力で解決できるはずです。次に同じ症状に遭ったときは、設定を手当たり次第に触る前に、まず curl でサーバーの健康状態を確認するところから始めてください。