ANTIGRAVITY LABEN
記事一覧/Agents & Manager
Agents & Manager/2026-05-25上級

Antigravity の並列エージェントで AdMob メディエーションを A/B 検証する実装ノート

累計 5,000 万 DL の壁紙アプリ群で AdMob メディエーションの A/B 検証を Antigravity の並列エージェントに任せた実装メモ。eCPM と ARPU の同時最適化、7 日サイクルの自動検証パイプライン、本番崩しを起こさないロールアウト設計を実装サンプルとともに共有します。

antigravity435マルチエージェント41admob16アプリ収益化ab-test2メディエーション4ecpm

プレミアム記事

AdMob メディエーションの最適化は、本当のところ「やってみないと分からない」要素が大きい領域です。Network A を増やすと eCPM は上がるけれど ARPU は下がる、というのが平気で起きます。地域や端末層やセグメントごとに最適解が違うので、頭で組み立てた仮説より実測がだいたい強い。問題は、「やってみる」のコストが高いこと。1 つの組み合わせの A/B を 7 日回して、効かなければ次、効いたら更に深掘り、という地道さの先にしか答えがありません。

廣川政樹です。2014 年から個人開発で iOS/Android アプリを続けていて、累計 5,000 万 DL の壁紙アプリ群(綺麗な壁紙・浮世絵壁紙・クールな壁紙・イラスト壁紙・Dolice 壁紙)と、Lab 4 サイト・Blog 2 サイトを一人で運営しています。AdMob メディエーションの最適化は「本業」のほうの主要収益源で、長年手動で回してきました。

最近 Antigravity の並列エージェント機能で、この A/B 検証ループを自動化したらだいぶ楽になりました。このノートは、その実装と運用上のハマりどころ、そして本番アプリで事故を起こさないためのロールアウト設計を共有するメモです。「AdMob 収益を伸ばしたいが手動 A/B が回らない」「Antigravity の並列エージェントで実用的なものを作ってみたい」方向けです。

なぜ AdMob メディエーション最適化が手動で詰むか

メディエーションは、AdMob を最上位の Mediation Manager に置いて、その下に複数の広告ネットワーク(Meta Audience Network、AppLovin、Unity Ads、Vungle、IronSource など)をぶら下げる構成です。それぞれの eCPM フロアプライス をどう設定するか、Network ごとの優先順位 をどう決めるかが運用の本体です。

これがなぜ手動だと詰むかというと、変数が多すぎるからです。一例:

  • ネットワーク数: 7〜10 個
  • 国別調整: 主要 20 カ国それぞれで挙動が違う
  • 端末層: iOS / Android、tier 1 / tier 2 デバイスで eCPM が変わる
  • フロアプライス: $0.10 刻みで実質 30 段階
  • バナー / インタースティシャル / リワード の 3 種類で別々の最適化

組み合わせ爆発で、人間が頭で「次はこれを試そう」と決めるには複雑すぎます。私は半年ほど直感で回していましたが、「Network A のフロアを上げてみたら eCPM は上がったけど fill rate が落ちて ARPU は下がった」のようなトレードオフを毎回手動で確認する作業が、本気で疲れました。

Antigravity の並列エージェントは、複数のエージェントが互いに独立な実験を同時に走らせる構成が組めます。1 つの A/B 仮説に 1 エージェントを割り当てて、7 日間並列に検証して結果を持ち寄る、という流れが自然に書けます。

アーキテクチャ — 7 日サイクル 4 並列の検証ループ

最終的に組み上がった構成です。

┌──────────────────────────────────────────────────┐
│  Orchestrator Agent (週次, 月曜 00:00 JST)        │
│  - AdMob Reporting API から先週の数字を集計         │
│  - 仮説を 4 つ立案 (eCPM フロア / Network 順位 等) │
│  - 4 つの Experimenter Agent に振り分け            │
└──────────────────┬───────────────────────────────┘
                   │ 並列起動
        ┌──────────┼──────────┐
        ▼          ▼          ▼            ▼
   ┌────────┐ ┌────────┐ ┌────────┐  ┌────────┐
   │ Exp #1 │ │ Exp #2 │ │ Exp #3 │  │ Exp #4 │
   │ Banner │ │ Inters │ │ Reward │  │ Floor  │
   │ Network│ │ Order  │ │ Order  │  │ Up 10% │
   │  順位  │ │ 入替え │ │ 入替え │  │        │
   └────┬───┘ └────┬───┘ └────┬───┘  └────┬───┘
        │          │          │           │
        │   Remote Config で 5% ロールアウト        │
        │   ↓ 7 日間ライブ計測 ↓                  │
        ▼          ▼          ▼           ▼
   ┌────────────────────────────────────────────┐
   │  Evaluator Agent (週次, 翌月曜 00:00 JST)    │
   │  - 4 実験の eCPM・ARPU・fill rate を比較      │
   │  - 改善が確認できたものを 100% ロールアウト    │
   │  - 悪化したものは即座に巻き戻し                │
   └────────────────────────────────────────────┘

ポイントは 3 つです。(1) Orchestrator が仮説立案を担当 して、Experimenter は実行だけに集中させること。(2) 並列実験は Remote Config で 5% ずつのトラフィックに当てる こと(本番ユーザー 100% に当てない)。(3) Evaluator が悪化を検知したら即時に巻き戻す こと(Remote Config の Force Refresh で 1 時間以内に効きます)。

AdMob は変更の反映に最大 24 時間かかることがあるので、検証期間は最低 7 日確保しています。曜日効果(土日 vs 平日)と週内の広告需要変動を平均化するには 7 日が下限という経験則です。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

この記事の続きを読む

この先には、実装コードやベンチマーク結果など、実務でお役に立てる内容をご用意しています。このサイトは広告を掲載しておらず、サーバーや開発にかかる費用はメンバーの皆様のご支援で成り立っています。もしお役に立てていましたら、ご支援いただけますと大変ありがたいです。

この記事で得られること
Antigravity の並列エージェントで AdMob メディエーション構成を 7 日サイクルで A/B 検証する実装パターンの全コードを取得できます
eCPM だけを追うと事故るので ARPU と組み合わせて評価する実用的な KPI 設計(5,000 万 DL のアプリ群で実証済み)が分かります
Remote Config による段階ロールアウトと、悪化検知時の自動巻き戻しを含めた本番崩しを起こさないパイプラインの設計知見を習得できます
Stripe による安全な決済 · いつでもキャンセル可能

この記事を購入する

この先の内容をすべてお読みいただけます。一度のご購入で、いつでも何度でもアクセスできます。このサイトは広告を掲載しておらず、皆さまのご支援がサーバー費用などの運営を支えています。

または
メンバーシップなら全記事が読み放題 →
シェア

お読みいただきありがとうございます

Antigravity Lab は広告なしで運営しており、サーバー費用などの運営コストはメンバーシップのご支援で賄っています。実装コード・ベンチマーク・本番設計パターンなど、実務でお役立ていただける記事を毎日更新しています。もし読んでよかったと感じていただけましたら、ぜひご覧ください。

  • コピー&ペーストで使える実装コード付き
  • 毎日新しい上級ガイドを追加
  • ¥580/月 または ¥1,480 の永久アクセス
メンバーシップを見る →

関連記事

Agents & Manager2026-06-17
複数案を出させたあと、どれを採用するか — 検証で裁定する Best-of-N の設計
Gemini 3.5 Flash の速さで、同じ実装を複数案つくらせるのは現実的になりました。難しいのは生成ではなく裁定です。多数決でも自己申告の自信でもなく、検証可能な信号だけで採用案を決める Best-of-N アービターの設計と TypeScript 実装を共有します。
Agents & Manager2026-06-17
どのエージェントがいくら使ったかを会計する — タスク別コスト帰属の設計
月末の請求は1つの数字でも、Gemini 3.5 Flash で複数エージェントを走らせていると、どのタスクが費用を食ったかが見えません。予算で止めるガードとは別に、使用量をタスク別・サイト別の原価へ帰属させる会計設計を、個人運用の実装と数値で共有します。
Agents & Manager2026-06-17
並行エージェントの動きを後から辿る — 構造化ログとスパンで作る可観測性
Antigravity 2.0 のデスクトップで複数エージェントを並行させると、どれが何をしているか追えなくなります。混線する print デバッグを捨て、run_id と span で実行を後から辿れるようにする可観測性の設計を、個人運用の実装と数値で共有します。
📚RECOMMENDED BOOKS
大規模言語モデル入門
山田育矢
LLM開発
生成AIプロンプトエンジニアリング入門
我妻幸長
プロンプト
Claude CodeによるAI駆動開発入門
平川知秀
AI駆動開発
※ アフィリエイトリンクを含みます
もっと見る →