「google antigravity vs cursor vs bolt」という検索クエリが増えているのを見て、整理する記事を書く必要があると感じました。3ツールとも「AIがコードを書いてくれる」という点では共通していますが、実際に使い続けると得意領域がはっきり分かれています。
私は個人でiOS/Androidアプリを開発しながら3ツール全てを日常的に使っている立場として、「どの場面でどれを選ぶか」の判断基準を共有します。どれが「実用的」かではなく、「自分のプロジェクトに合うのはどれか」という視点で読んでいただければと思います。
3ツールのポジション整理
まず基本的な位置づけを整理しましょう。
Google Antigravity: エージェント型のAIアシスタント。コードを書くだけでなく、ファイル操作・テスト実行・APIコール・デプロイまでを一連の流れで自律実行できます。Google エコシステム(Firebase、Vertex AI、Google Cloud)との統合が強く、Gemma 4などのオープンモデルをローカル実行する環境とも相性が良いです。
Cursor: VS CodeベースのAI搭載コードエディタ。既存のコードベースを読み込んだ上でのコード補完・生成・リファクタリングが得意です。「書いているコードの文脈を理解したAIと一緒に開発する」体験に特化しています。
Bolt.new: ブラウザ上でフルスタックアプリを即座に生成するサービス。「ゼロからアイデアをアプリにする」速度が最速で、プロトタイプや概念実証(PoC)の作成に最も向いています。
速度比較:ゼロから動くものを作るまで
「アイデアを話して、動くアプリが出来上がるまで」の時間感覚は3ツールで大きく異なります。
Bolt.new: 最速。「ToDoアプリを作って」から数分で動くReactアプリが生成されます。デプロイまで含めて10分以内が目安です。
Antigravity: 速い方ですが、Boltより丁寧。生成前に「何を作るか」を確認し、ファイル構成を提案してから実装します。エージェントが複数ファイルを並行して扱えるため、複雑なアプリでは速度差が逆転することがあります。
Cursor: ゼロからの生成よりも、既存コードの拡張に強み。初期生成だけなら他の2ツールに比べて遅いですが、100ファイル以上のプロジェクトの改修なら最も速いです。
コード品質と保守性
これが最も重要な差異です。
Antigravity は生成コードのアーキテクチャ判断が比較的堅実で、テストを同時に書く指示が通りやすいです。長期保守を前提とした構成を提案する傾向があります。ただし、エージェントの判断に依存するため、指示が曖昧だと期待と異なる方向に進むことがあります。
Cursor は既存コードのスタイルとパターンを継承します。プロジェクトに.cursorrules(Cursorの設定ファイル)を適切に書けば、チームの規約に沿ったコードが一貫して生成されます。コードレビューの補助にも使えるため、チーム開発での活用に向いています。
Bolt は速度優先で、コードの保守性より「動く」を重視します。生成されたコードを長期的に触り続けることを前提とした設計ではないことが多く、プロトタイプ段階を超えたプロジェクトには向きません。
料金と実際のコスト感
Antigravity:
- 無料枠あり(クレジット制、毎月リセット)
- Pro: 月額$20〜(クレジット追加購入可)
- Ultra: $249.99/月(大量利用・チーム向け)
Cursor:
- 無料枠あり(月500回補完)
- Pro: $20/月(無制限補完 + 高度なモデル)
- Business: $40/ユーザー/月
Bolt.new:
- 無料枠あり(月次トークン制限あり)
- Pro: $20/月(トークン上限拡大)
実際のコストは使い方によって大きく変わります。私の経験では、個人開発で月に数本のアプリを作る場合、3ツールとも $20/月 プランで十分に収まります。
得意分野と選び方の判断軸
明確な使い分けを表にまとめます。
Antigravityを選ぶ場面:
- Google Cloud / Firebase と統合したバックエンドを作りたい
- エージェントにテスト実行・デプロイまで一任したい
- Gemma 4などのローカルモデルと組み合わせて使いたい
- CI/CDパイプラインとAIを連携させたい
Cursorを選ぶ場面:
- 既存の大規模コードベースを改修・リファクタリングしたい
- チームで一貫したコーディング規約を維持したい
- コードレビューの質を上げたい
- TypeScript/Python での高品質なコード補完が欲しい
Boltを選ぶ場面:
- 新しいアイデアをとにかく素早く形にしたい
- 顧客へのデモや概念実証に使いたい
- フロントエンド中心の比較的シンプルなアプリを作りたい
- コーディングの知識が少ない状態で試したい
私が実際に使い分けている方法
個人開発の現場での使い方を正直に話すと、3ツールを組み合わせています。
新しいアプリのアイデアが出た段階では、Boltで最初のUIモックを30分で作ります。「こういう画面だったか」という感触を確認するためです。
実装段階に入ったらAntigravityに切り替え、Firebase / Firestore の設計・実装・テストをエージェントに任せます。Gemma 4をローカルで使って実装案を生成させ、Antigravityで実装するという組み合わせも試しています。
既存のアプリのコード品質改善や大規模なリファクタリングはCursorが得意なため、そこだけCursorを使います。
3ツールを競合として捉えるより、「それぞれが得意なフェーズを担当する」という補完関係で考えると使いやすくなります。
Antigravity と他ツールとの統合については、Antigravity と Figma MCP の設計ワークフロー統合ガイドも参考になります。
全体を振り返って
3ツールの一言まとめ:
- Bolt: 速さで選ぶ。アイデアの検証に最適
- Cursor: 精度で選ぶ。既存プロジェクトの品質向上に最適
- Antigravity: 自律性で選ぶ。エンドツーエンドの実装をエージェントに委ねたい場合に最適
今使っているのが1ツールだけという方は、まず「速く試したい」か「しっかり作りたい」かで選ぶのがシンプルです。