◉ANTIGRAVITY LABEN
記事一覧/Editor View
⟐ Editor View/2026-06-22中級

入れ子になったAGENTS.mdの優先順位 — 複数プロジェクトを一つのワークスペースで束ねる合流設計

一つのワークスペースに複数のプロジェクトを置き、それぞれにAGENTS.mdを持たせると、エージェントはどの指示に従うのか曖昧になります。ルートと各プロジェクトの指示が静かに衝突し、片方だけが効いたり両方が混ざったりします。「近いほど強い」を基本則に、上書きと追記を区別して合流させる設計を、動くPython実装と運用の所感つきでまとめました。

Antigravity385AGENTS.md14ワークスペース設計エージェント運用18本番運用17

✦ プレミアム記事

一つのワークスペースに複数のプロジェクトを置いていると、ある日エージェントの振る舞いが急に読めなくなる瞬間が来ます。ルートに置いた AGENTS.md で「コミットメッセージは英語で」と決めているのに、あるプロジェクトだけ日本語で書いてくる。調べてみると、そのプロジェクトの中にも AGENTS.md があり、別の指示が書かれていました。

入れ子になった指示書は、それ自体は自然な発想です。共通の約束ごとはワークスペースの根に、プロジェクト固有の約束ごとはそれぞれの中に。困るのは、二つが衝突したときに「どちらが勝つか」がどこにも定義されていないことです。エージェントは、明文化されていない優先順位を、その都度なんとなく解釈してしまいます。

ここで設計するのは、その「なんとなく」をなくす合流のルールです。複数の AGENTS.md を、決まった順序で、決まった方法で一つに束ねます。

一つのワークスペースに複数のAGENTS.mdがあると、何が起きるか

まず、曖昧さがどこから生まれるかを具体的に見ておきます。

私自身、Dolice Labs の複数サイトを一つのワークスペースにまとめて触っています。ルートには「日本語は敬体で」「裸URLを書かない」といった全サイト共通の約束を置き、各サイトのフォルダにはそのサイト固有の事情——カテゴリ名やビルド手順——を置いています。

ここで起きるのは、三つのパターンです。共通ルールだけが効いて固有ルールが無視される。固有ルールだけが効いて共通ルールが抜け落ちる。あるいは両方が中途半端に混ざって、どちらとも違う結果になる。どれが起きるかは、その時のエージェントの読み方次第で変わってしまいます。再現しない不具合ほど厄介なものはありません。

「近いほど強い」を基本則にする

この曖昧さを断つために、一つだけ明快な原則を置きます。編集対象のファイルに近い AGENTS.md ほど、指示が強い。これだけです。

workspace/
├── AGENTS.md            ← 弱い(全体の共通ルール)
├── claudelab/
│   ├── AGENTS.md        ← 中(このサイト共通)
│   └── articles/
│       └── AGENTS.md    ← 強い(この領域固有)
└── rorklab/
    └── AGENTS.md
階層役割優先度
ワークスペース直下全プロジェクト共通の約束低(土台)
プロジェクト直下そのプロジェクト共通の事情中
サブフォルダその領域に固有のルール高(最終決定)

近いほど強い、という一文を共有しておくだけで、「このファイルを編集するとき、どの指示が最終的に効くのか」が一意に決まります。曖昧さは、ルールの不在から生まれます。たった一行でも、明文化すれば消えます。

✦

ここまでお読みいただきありがとうございます。

この記事の続きを読む

この先には、実装コードやベンチマーク結果など、実務でお役に立てる内容をご用意しています。このサイトは広告を掲載しておらず、サーバーや開発にかかる費用はメンバーの皆様のご支援で成り立っています。もしお役に立てていましたら、ご支援いただけますと大変ありがたいです。

この記事で得られること
✦ルートと各プロジェクトのAGENTS.mdが衝突して挙動が読めなくなる構造を整理し、「近いほど強い」を基本則とした優先順位の決め方を、適用範囲の表とともに示します
✦言葉で曖昧に決めるのをやめ、複数のAGENTS.mdをセクション単位で合流させるマージ処理を、上書きと追記を区別する形でそのまま使えるPython実装として提供します
✦共有ルールをルートに、固有ルールを各プロジェクトに分ける指針と、AGENTS.mdを薄く保つ運用を、個人開発で複数サイトを一つのワークスペースに束ねてきた実体験から共有します
Stripe による安全な決済 · いつでもキャンセル可能
✦

この記事を購入する

この先の内容をすべてお読みいただけます。一度のご購入で、いつでも何度でもアクセスできます。このサイトは広告を掲載しておらず、皆さまのご支援がサーバー費用などの運営を支えています。

または
メンバーシップなら全記事が読み放題 →
シェア

お読みいただきありがとうございます

Antigravity Lab は広告なしで運営しており、サーバー費用などの運営コストはメンバーシップのご支援で賄っています。実装コード・ベンチマーク・本番設計パターンなど、実務でお役立ていただける記事を毎日更新しています。もし読んでよかったと感じていただけましたら、ぜひご覧ください。

  • ✦コピー&ペーストで使える実装コード付き
  • ✦毎日新しい上級ガイドを追加
  • ✦¥580/月 または ¥1,480 の永久アクセス
メンバーシップを見る →

関連記事

⟐ Editor View2026-07-16
UI を日本語にしても、コミットログは英語のままでした — 無人エージェントの出力言語が揺れ続けた6週間の記録
日本語UIの設定を終えても、エージェントがリポジトリに残すコミットメッセージやコードコメントの言語は揺れ続けます。無人運用6週間で測った混在の実数値と、出力言語を層別に固定する契約の書き方、混在を機械的に弾くゲートの実装を記録しました。
⟐ Editor View2026-10-16
納期の前日にアップデート通知が届いたとき、上げるか先送りするかを決める三つの問い
納期前夜に Antigravity のアップデート通知が出たら、上げるか先送りか。変更履歴の読み方、戻せるかの確認、5分でできる退避の手順まで、個人開発の判断基準をまとめました。
⟐ Editor View2026-09-17
VS Code から持ってきた拡張が Open VSX に無いとき、どこまで追いかけるか
Antigravity へ移したあと、拡張機能だけが付いてこない理由と、足りない分を機械で洗い出して埋め方を決めるまでの手順です。Open VSX の公開者を確かめる方法、VSIX を台帳で固定する運用、レジストリ差し替えの副作用まで扱います。