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Editor View/2026-06-22中級

入れ子になったAGENTS.mdの優先順位 — 複数プロジェクトを一つのワークスペースで束ねる合流設計

一つのワークスペースに複数のプロジェクトを置き、それぞれにAGENTS.mdを持たせると、エージェントはどの指示に従うのか曖昧になります。ルートと各プロジェクトの指示が静かに衝突し、片方だけが効いたり両方が混ざったりします。「近いほど強い」を基本則に、上書きと追記を区別して合流させる設計を、動くPython実装と運用の所感つきでまとめました。

Antigravity258AGENTS.md8ワークスペース設計エージェント運用4本番運用15

プレミアム記事

一つのワークスペースに複数のプロジェクトを置いていると、ある日エージェントの振る舞いが急に読めなくなる瞬間が来ます。ルートに置いた AGENTS.md で「コミットメッセージは英語で」と決めているのに、あるプロジェクトだけ日本語で書いてくる。調べてみると、そのプロジェクトの中にも AGENTS.md があり、別の指示が書かれていました。

入れ子になった指示書は、それ自体は自然な発想です。共通の約束ごとはワークスペースの根に、プロジェクト固有の約束ごとはそれぞれの中に。困るのは、二つが衝突したときに「どちらが勝つか」がどこにも定義されていないことです。エージェントは、明文化されていない優先順位を、その都度なんとなく解釈してしまいます。

ここで設計するのは、その「なんとなく」をなくす合流のルールです。複数の AGENTS.md を、決まった順序で、決まった方法で一つに束ねます。

一つのワークスペースに複数のAGENTS.mdがあると、何が起きるか

まず、曖昧さがどこから生まれるかを具体的に見ておきます。

私自身、Dolice Labs の複数サイトを一つのワークスペースにまとめて触っています。ルートには「日本語は敬体で」「裸URLを書かない」といった全サイト共通の約束を置き、各サイトのフォルダにはそのサイト固有の事情——カテゴリ名やビルド手順——を置いています。

ここで起きるのは、三つのパターンです。共通ルールだけが効いて固有ルールが無視される。固有ルールだけが効いて共通ルールが抜け落ちる。あるいは両方が中途半端に混ざって、どちらとも違う結果になる。どれが起きるかは、その時のエージェントの読み方次第で変わってしまいます。再現しない不具合ほど厄介なものはありません。

「近いほど強い」を基本則にする

この曖昧さを断つために、一つだけ明快な原則を置きます。編集対象のファイルに近い AGENTS.md ほど、指示が強い。これだけです。

workspace/
├── AGENTS.md            ← 弱い(全体の共通ルール)
├── claudelab/
│   ├── AGENTS.md        ← 中(このサイト共通)
│   └── articles/
│       └── AGENTS.md    ← 強い(この領域固有)
└── rorklab/
    └── AGENTS.md
階層役割優先度
ワークスペース直下全プロジェクト共通の約束低(土台)
プロジェクト直下そのプロジェクト共通の事情
サブフォルダその領域に固有のルール高(最終決定)

近いほど強い、という一文を共有しておくだけで、「このファイルを編集するとき、どの指示が最終的に効くのか」が一意に決まります。曖昧さは、ルールの不在から生まれます。たった一行でも、明文化すれば消えます。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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この記事で得られること
ルートと各プロジェクトのAGENTS.mdが衝突して挙動が読めなくなる構造を整理し、「近いほど強い」を基本則とした優先順位の決め方を、適用範囲の表とともに示します
言葉で曖昧に決めるのをやめ、複数のAGENTS.mdをセクション単位で合流させるマージ処理を、上書きと追記を区別する形でそのまま使えるPython実装として提供します
共有ルールをルートに、固有ルールを各プロジェクトに分ける指針と、AGENTS.mdを薄く保つ運用を、個人開発で複数サイトを一つのワークスペースに束ねてきた実体験から共有します
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