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Agents & Manager/2026-07-12上級

書き込みより怖いのは到達先だった — エージェントの外向き通信を許可ホストだけに絞る

エージェントに実作業を委ねるとき、私が一番警戒しているのはファイルの書き換えではなく、どこへ通信するかです。到達先を deny-by-default で絞る小さなゲートの実装と、21晩の無人運用で拾った通信の内訳をまとめました。

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ある朝、前夜のスケジュール実行のログを追っていて、見慣れないホスト名で手が止まりました。依存パッケージの postinstall が、私の知らない集計エンドポイントへ静かに ping を投げていたのです。エージェント自身が悪さをしたわけではありません。エージェントに任せた npm install の、そのまた先が外へ出ていっただけです。

統一パーミッションでファイルの書き込みには承認をかけていました。けれど「どこへ通信するか」には、何の関門も置いていなかった。個人開発でエージェントを無人で回すようになってから、私が一番の急所だと感じているのはここです。書き換えられるものは差分を見れば戻せます。けれど一度外へ出ていったリクエストは、戻せません。

書き込み権限ばかり見ていた

エージェントに実作業を委ねるという話をするとき、議論はたいてい「何を変更させるか」に向かいます。ファイルを消す、コミットする、デプロイする。どれも承認ダイアログで止められますし、統一パーミッションはその一元管理をきれいにしてくれました。

けれど委譲の怖さの半分は「何に到達できるか」の側にあります。エージェントが走らせるビルド、テスト、パッケージインストール、ツール呼び出しは、どれも外向きの通信を伴います。その通信先は、承認ダイアログには出てきません。具体的には次のような通信が、私の環境では黙って通り抜けていました。

通信の出どころ到達先の例承認ダイアログに出るか
依存パッケージの postinstallベンダーの集計ビーコン出ない
ツールが同梱するテレメトリ解析サービスの収集口出ない
エージェントが書いた検証スクリプト任意の外部 API出ない
課金エンドポイントへの実呼び出し広告・ストア・決済系 API出ない

私が守りたかったのは、最後の行です。iOS/Android のアプリを個人で運用していると、エージェントの手元にはAdMob などの広告配信やストアの管理 API を叩ける鍵が、環境変数として置かれている場面があります。夜間の自動処理でその鍵を使ってほしい一方、想定外のホストへその鍵が向かうのだけは避けたい。境界を引く場所は、書き込みではなく到達先だと考え直しました。

到達先を deny-by-default で絞る

方針はひとつです。エージェント配下の通信を、すべて手元のゲートに通す。そのゲートは「許可リストに載っているホストだけ」を通し、それ以外は既定で拒否する。deny-by-default にするのがこの設計の肝で、allow-list を書き忘れたホストは通らない、という方向に倒します。逆(既定で許可し、危ないものだけ塞ぐ)にすると、知らないうちに増えた到達先を永遠に追いかけることになります。

実装の勘所は、TLS を割らないことです。中身を復号して覗く必要はありません。私が知りたいのは「どのホストに繋ごうとしたか」だけで、それは HTTPS の CONNECT 要求のホスト名を見れば分かります。中身には触れないので、正規の通信のプライバシーも保てます。

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この記事で得られること
CONNECT を許可ホストだけ通す、80行の deny-by-default 送信ゲート(動くコード)
プロジェクトごとに allowlist を空から育てる手順と、拒否ログの読み方
21晩の無人実行で計測した拒否41件・想定外9ホストの内訳と、TLS を割らない設計のトレードオフ
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