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Agents & Manager/2026-04-27上級

AgentKit 2.0 でマルチエージェント開発を始める — Antigravity 環境での設計と実装

AgentKit 2.0 はマルチエージェント開発の入り口を一気に下げました。私が Antigravity 上で 3 種類のエージェント連携パターンを実装して見えた、設計判断・落とし穴・本番運用の勘所を体系化します。

AgentKit 2.013マルチエージェント41Antigravity338エージェント設計14実装ガイド

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AgentKit 2.0 が出たときの最初の感覚は「これ、マジで簡単になったな」でした。

1.x の時代、複数のエージェントを組み合わせるというのは、自分で OpenAI の API を直に叩いて、エージェント間のメッセージフローを自分で管理して、それこそ「本当にこれで動くのか?」というレベルの心理的負荷がありました。Antigravity 上で 3 つのマルチエージェント パターンを実装してみて、初めて「あ、AgentKit 2.0 はこの複雑さをかなり吸収してくれるんだ」と実感しました。

ここで扱うのはAgentKit 2.0 の設計思想から、実装パターン 3 選、本番運用で何が起きるのか、までを体系的にお伝えします。これを読み終わったら、今日のうちに自分の最初のマルチエージェントシステムを立ち上げられるはずです。

AgentKit 2.0 の設計思想と 1.x からの変化

まず、AgentKit 2.0 が何をフォーカスしたのかを理解することが大事です。

1.x は「エージェント基盤」でした。「Gemini を使って自律的に動くエージェントを作ってね」という宣言型の API で、ユーザーは LLM の挙動を信じるしかありませんでした。2.0 は違います。明示的な制御フローを提供することに舵を切ったのです。

AgentKit 2.0 では、3 つの層を明確に分けます:

  • Agent — 1 つの目的を持つ独立した実行単位。「商品情報を検索する」「ユーザーの承認を取る」など、単一責任型
  • Workflow — Agent を組み合わせるレシピ。「まず調査、その結果を承認層に渡す」という流れを定義
  • Coordinator — Workflow 全体を監督します。複数の Workflow が並行走行していても安全に統合できる存在

この 3 層を理解した瞬間に、複雑なマルチエージェントシステムが「詳細なテスト仕様書」と同じくらい予測可能になります。

1.x との最大の違いは、ユーザーが明示的に制御をハンドル するのに対して、2.0 では システムが多くの制御を引き受ける ということです。

3 つの核となる抽象化の理解

AgentKit 2.0 の設計をマスターするには、このセクションが一番重要です。

Agent — 単一責任の実行単位

Agent は「1 つのことだけを非常に上手にやる」モジュールです。

import { Agent } from '@google-cloud/agentkit';
 
const researchAgent = new Agent({
  name: 'researcher',
  systemPrompt: 'You are a product researcher. Find detailed information about the given product from web sources.',
  tools: ['search', 'summarize'],
  maxIterations: 5,
  timeoutMs: 30000,
});
 
// 使い方
const result = await researchAgent.execute({
  input: '「Antigravity の 2026 年 4 月アップデート」について調査してください',
});

ここで大事なポイントが 3 つあります。

1. tools の明示的な指定 Agent が何ができるかを事前に宣言することで、LLM の「できもしないことを勝手にやろうとする」エラーが減ります。1.x では暗黙的に全 API を使えましたが、2.0 では「このエージェントは search と summarize だけ」と限定することで、コスト削減と予測可能性が両立します。

2. timeoutMs の設定 ブラウザ操作や外部 API 呼び出しを含む Agent は、30 秒程度が現実的です。長すぎるタイムアウトを設定すると、詰まったエージェントがいつまでも待機状態になり、全体の Workflow を巻き込みます。本番運用では、このタイムアウト値が最初のボトルネックになります。

3. maxIterations の設定 これは「LLM が自分の思考を何サイクル繰り返していいか」という制限です。無限ループ防止ですね。デフォルトは 10 ですが、複雑な思考が必要なエージェント(承認判定など)は 3〜5 に落とすのが安全です。

Workflow — 複数 Agent の協調レシピ

Workflow は Agent を「配列」で繋ぐのではなく、「有向グラフ」で繋ぎます。

import { Workflow, Edge } from '@google-cloud/agentkit';
 
const multiAgentWorkflow = new Workflow({
  name: 'product_review_workflow',
  agents: {
    research: researchAgent,
    fact_check: factCheckAgent,
    summarize: summarizeAgent,
  },
  edges: [
    new Edge('research', 'fact_check', (output) => output.length > 1000),
    new Edge('fact_check', 'summarize', () => true),
  ],
});
 
const result = await multiAgentWorkflow.execute({
  input: { product: 'Antigravity IDE' },
});

ポイント:

条件分岐エッジ new Edge の第 3 引数の関数で、前の Agent の出力に基づいて「次の Agent に進むか」を判定できます。例:research の結果が十分でなかったら fact_check をスキップ、という流れが可能です。

並列実行の非サポート AgentKit 2.0 の Workflow は「現在のところ」線形です。複数 Agent が並列で走る場合は、後述の Coordinator を使います。直列設計のおかげで、デバッグがずっと容易です。

Coordinator — システム全体の監督

複数の Workflow を同時に走らせたり、Workflow の結果に基づいて新しい Workflow を起動したり、という「メタレベルの制御」を Coordinator が担当します。

import { Coordinator } from '@google-cloud/agentkit';
 
const coordinator = new Coordinator({
  workflows: {
    review: multiAgentWorkflow,
    approval: approvalWorkflow,
  },
  maxConcurrent: 3,
  onConflict: 'halt', // または 'delegate'
});
 
const results = await coordinator.executeAll({
  inputs: [
    { product: 'Antigravity' },
    { product: 'Cursor' },
    { product: 'VS Code' },
  ],
});

maxConcurrent 同時に走らせる Workflow 数。デフォルト 2 は、API rate limit や LLM の課金を考えると現実的です。本番では環境変数で管理します。

onConflict: 'halt' vs 'delegate' 複数の Workflow が同じリソース(例えば DB レコード)にアクセスしようとしたときの動作。halt は衝突を検出して停止(安全)、delegate は Coordinator が自動的に順序を決める(高速ですが複雑)。初期段階では halt を推奨します。

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この記事で得られること
AgentKit 2.0 の核となる3つの抽象化(Agent / Workflow / Coordinator)の使い分け方が明確になり、複雑なエージェント連携も設計できるようになる
私が実装した「並列調査エージェント・直列承認チェーン・階層型監督」の3パターン完全コード。コピー&ペーストで動き、本番導入可能
本番運用で発生する障害(タイムアウト・無限ループ・コスト暴騰)への実用的な対策を具体的なコード例で習得。そのまま自分のプロダクトに応用できる
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