初めて Antigravity を開いたとき、画面にはいくつもの領域が並んでいて、どこを見ればいいのか分からず、しばらく手が止まりました。コードを読み慣れた方でも、最初の数分は似た感覚になるのではないかと思います。
私の場合、いちばん長く見つめていたのは、ファイルが開いているエディタでした。ところがエージェントに作業を頼んでみると、本当に目を向けるべき場所は別にありました。エディタをじっと見ていても、何も起きないのです。
この記事は、コードを書かない方が最初の1週間で「見る場所」と「まだ見なくていい場所」を決めるための覚え書きです。
3つの窓を役割で分けてみる
画面の構成はバージョンによって少しずつ変わりますので、細かい配置よりも「役割」で覚えるほうが長持ちします。
| 窓 | そこにあるもの | 初日の付き合い方 |
|---|---|---|
| チャット(エージェントとの会話) | 依頼、計画、途中経過、完了報告 | いちばん長く見る場所です |
| エディタ | ファイルの中身、変更された箇所の差分 | 差分が出たときだけ開いて読みます |
| 内蔵ターミナル | コマンドの実行結果、エラーの文字 | 打ち込まず、流れてくる文字を読みます |
この表の中心は、右端の列です。3つの窓を「同じ重さで」見ようとすると、情報が多すぎて疲れてしまいます。初日は、チャットを主役に、残り2つを脇役に置きます。
初日に見るのは「計画」と「差分」の2つだけ
エージェントに依頼を出すと、多くの場合、先に何をするかの計画が会話に出てきます。ここを読むのが、最初の習慣です。
読むときの観点は、次の2つに絞ります。
- 触ろうとしているファイルは、自分が頼んだ範囲に収まっているか
- 「削除」「上書き」「インストール」のような言葉が混ざっていないか
作業が終わると、エディタに変更の差分が出ます。ここで初めてエディタを開き、赤(消えた行)と緑(増えた行)の量を眺めます。中身を理解できなくても構いません。頼んだ内容に対して、変更の量が釣り合っているかどうかを見ます。
一行直してほしいと頼んだのに、画面いっぱいに色がついている——そのときは、承認する前に会話へ戻って「なぜこんなに多く変わったのですか」と尋ねます。
内蔵ターミナルは「打つ窓」ではなく「読む窓」
ターミナルは、黒い画面に文字が流れるので、最初は身構えてしまう場所です。私もそうでした。
ただ、エージェントに任せている間は、こちらがターミナルに何かを打ち込む場面はほとんどありません。役割は、エージェントが実行したコマンドと、その結果が並ぶ「作業の記録帳」です。
読むときは、行頭の言葉だけ追えば十分です。
npm install ← 部品を入れている
npm run build ← 完成品を組み立てている
rm -rf dist ← 古い完成品を消している
git push ← 外の世界へ送っている
意味が分からない行は、そのままエージェントに聞きます。聞き方を型にしておくと、迷いません。
Before(依頼だけ出す)
README.md の誤字を直してください。
After(確認の約束を添える)
README.md の誤字だけを直してください。
直す前に、変更する予定の箇所を一覧にして見せてください。
ターミナルのコマンドを実行する前に、何をするコマンドかを日本語で一言説明してください。
なぜこう書くのかというと、エージェントの手が動く前に、計画と説明を会話の中へ引き出しておきたいからです。後から巻き戻すより、動く前に確かめるほうが、はるかに楽です。
承認ボタンを押す指が、先に動いていました
ここで、私の失敗をひとつ書き残します。
使い始めて間もない頃、コマンドの実行許可を求める表示が出るたびに、内容を読まないまま承認を押していました。画面が止まるのが落ち着かず、早く先へ進めたかったのだと思います。結果は芳しくありませんでした。何が変わったのかを後から説明できず、元に戻したくなったときに、手がかりが何も残っていなかったのです。
いまは、承認の前に一つだけ確かめるようにしています。
押す前に、何が変わるのかを一文で言えること。
一文で言えないときは、押しません。会話に戻って、エージェントに説明を頼みます。この線引きだけは、急いでいる日ほど守るようにしています。
最初の30分の動かし方
最後に、初日の流れを短くまとめます。
- 触ってよいフォルダを一つだけ決めて、開く
- 小さな依頼を一つ出す(誤字の修正、説明文の整理など)
- チャットに出た計画を読む
- 差分が出たら、エディタで量だけ眺める
- ターミナルは、実行されたコマンドの行頭だけ読む
ターミナルへの直接入力や、エディタでの手書きの修正は、慣れてから足せば十分です。
まずは小さな依頼を一つ出して、計画を読むところから始めてみてください。私も、そこから始めました。