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Editor View/2026-06-26上級

Antigravity が一気に書いた巨大な差分を、意味単位のコミットに分け直す

エージェントが書いた数百行の差分を、そのままコミットしていませんか。レビューできない一括コミットを、関心ごとに分け直すための実践的なワークフローとスクリプトを紹介します。

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ある朝、ログイン周りの不具合を直してほしいとだけ伝えて Antigravity に任せたところ、戻ってきたのは 9 ファイル・約 420 行の差分でした。読み始めて気づいたのは、認証ミドルウェアの修正だけでなく、ついでに型定義の整理、未使用 import の削除、エラーメッセージの文言調整までが、ひとつの塊に混ざっていたことです。

どれも妥当な変更でした。けれど、これをそのまま git commit -am "fix login" で固めてしまうと、後から「文言調整だけ戻したい」と思っても、認証の修正ごと巻き戻すしかなくなります。レビューする側としても、420 行を一息に追うのは集中力が持ちません。結局その差分は、私が分け直すまで半日ほど宙に浮いたままになりました。

エージェントは関心を分けて書いてはくれません。一度に解けるものは一度に書きます。だからこそ、書かせたあとに「意味の単位へ分け直す」工程を自分の手元に持っておくことが、個人開発でも効いてきます。今日はそのやり方を、実際に使っているスクリプトとともに共有します。

なぜ「一括コミット」が後で重荷になるのか

巨大なコミットの問題は、見た目の読みにくさだけではありません。本質的に困るのは次の三つで、私はこの三点を分割の判断基準として推奨しています。

  1. 巻き戻しの粒度が粗くなること。git revert はコミット単位でしか働きません。機能追加とリファクタリングが同じコミットに入っていると、片方だけを取り消す手段が事実上なくなります。
  2. レビューが形骸化すること。人間の注意力には限りがあります。一度に 400 行を見せられると、最初の数十行は丁寧に読んでも、後半は「たぶん大丈夫だろう」と流し読みになりがちです。私自身、自分が書いたコードですら、まとめてレビューしようとすると見落としが増えます。
  3. git bisect が効きにくくなること。不具合の原因コミットを二分探索で特定するとき、ひとつのコミットに複数の関心が同居していると、犯人を絞り込めても「このコミットのどの変更が原因か」が分からないままになります。

これらは個人開発でも例外なく効いてくる落とし穴です。だからこそ早めに回避策を持っておきたいところです。

観点一括コミット意味単位コミット
巻き戻し全部まとめてしか戻せない関心ごとに revert できる
レビュー後半が流し読みになりやすい1件が小さく集中して読める
原因特定bisect で犯人コミットは出ても中身が混在犯人コミット=犯人の変更
履歴の意味「fix login」など曖昧各コミットが意図を語る

理想は「1 コミット 1 関心」です。とはいえ、エージェントに最初からそう書かせるのは現実的ではありません。修正の過程で関心は自然に絡み合うからです。ですから、私は「書かせるときは自由に、コミットするときに分ける」と割り切っています。

まず素手でできること — git add -p

分割の基本は、Git に標準で備わっている対話的ステージングです。git add -p は差分を hunk(変更のかたまり)単位で見せ、ひとつずつ採否を選ばせてくれます。

# 作業ツリーの変更を hunk 単位で確認しながらステージング
git add -p

採否のプロンプトでは、y(この hunk を含める)、n(含めない)、s(さらに小さく分割する)、e(手で編集する)がよく使うキーです。認証の修正だけを y で拾い、文言調整は n で見送り、まず認証ぶんだけコミットする、という流れです。

# 認証関連だけをステージしたあとでコミット
git commit -m "fix(auth): セッション Cookie の SameSite 属性を修正"
# 残りの変更を次の関心としてステージし直す
git add -p
git commit -m "refactor: 認証ミドルウェアの型定義を整理"

この素手の方法は確実ですが、9 ファイルにまたがる 420 行を一 hunk ずつ捌くのは骨が折れます。s で分割しても、関連する hunk が別々のファイルに散っていると、どれとどれが同じ関心なのかを頭の中で覚えておく必要があります。ここを Antigravity に手伝わせるのが、今日の本題です。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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差分を関心ごとに分類させるための出力契約つきプロンプトと、束ねてコミットする実スクリプト
コミット1件ごとにビルドを通す検証ゲートと、相互依存するhunkの扱い方
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