AntigravityとCursor、選択を迷う理由
「AntigravityとCursor、結局どちらを選べばいいのか」。2026年、AIコーディングIDEの選択肢が増えるほど、この問いは切実になっています。Google が投入した Antigravity と、すでに多くの開発者に定着した Cursor。どちらも「AIエージェントと協調する開発」を掲げながら、その設計思想は驚くほど異なります。
基本スペック概要
| 項目 | Antigravity | Cursor |
|---|---|---|
| ベース | VS Code フォーク(Windsurf 経由の可能性あり) | VS Code フォーク |
| 開発元 | Anysphere | |
| 公開時期 | 2025年11月(Gemini 3 同時発表) | 2023年〜 |
| 主力AIモデル | Gemini 3.1 Pro / Gemini 3 Flash | Claude Sonnet / GPT-4o |
| 価格(個人) | 無料(Public Preview) | 無料プラン+Pro $20/月 |
| 対応OS | macOS / Windows / Linux | macOS / Windows / Linux |
エディタ体験の違い
Antigravity: Manager View が差別化要因
Antigravity の最大の特徴は、Editor View と Manager View という2つのビューを持つことです。
Editor View は通常の VS Code ライクなインターフェースで、エージェントサイドバーが付いています。コードを書きながら AI にリファクタリングやバグ修正を依頼できます。
一方の Manager View は、複数のエージェントを並列で管理するコントロールセンターです。「バックエンドAPIのリファクタリング」と「フロントエンドのコンポーネント分割」を同時進行させ、それぞれの進捗を Artifacts(成果物)として確認できます。
# Manager View でのエージェント起動例(概念コード)
agent start --task "Refactor backend API" --model gemini-3.1-pro
agent start --task "Split React components" --model claude-sonnet-4-6Cursor: Tab 補完とコンテキスト把握が強力
Cursor は Tab 補完の精度の高さ で評判を得てきましました。コードを書いていると、次の一手を高精度で予測して補完してくれます。
また、Cursor Rules(.cursorrules ファイル)によってプロジェクト全体のコンテキストをエージェントに渡せる仕組みは成熟しており、大規模コードベースでの利用実績も豊富です。
エージェント性能の比較
Antigravity: 非同期エージェントが真骨頂
Antigravity のエージェントは非同期実行が特徴です。バックグラウンドでタスクを実行しながら、あなたは別の作業を進められます。タスクが完了すると diff と テスト結果を Artifacts としてレポートしてくれます。
さらに Planning Mode と Fast Mode の使い分けが効果的です:
- Planning Mode: エージェントが思考プロセスをArtifacts(タスクリスト・ウォークスルー)として可視化。重要な判断ポイントで介入できる
- Fast Mode: 軽微な修正に最適。即座に実行、副作用が小さいタスク向け
Cursor: Composer による協調コーディング
Cursor の Composer は複数ファイルにまたがる変更を一括で生成できます。ただし、Antigravity の Manager View のような「並列・非同期エージェント」の概念は現時点では限定的で、どちらかというと インタラクティブな協調コーディング に強みがあります。
AIモデルの柔軟性
Antigravity は Gemini 3.1 Pro を軸にしつつも、Claude Sonnet 4.6 / Claude Opus 4.6、さらに GPT-OSS-120B など複数モデルをエージェントごとに割り当てられます。
# エージェントごとのモデル割り当てイメージ
Agent A: Gemini 3.1 Pro → アーキテクチャ設計
Agent B: Claude Sonnet 4.6 → コード実装
Agent C: Gemini 3 Flash → ユニットテスト生成
Cursor も Claude Sonnet / GPT-4o などを切り替えられますが、エージェントごとの細かいモデル指定は Antigravity の方が柔軟です。
価格比較
Antigravity(2026年3月現在)
現時点では完全無料(Public Preview)。Gemini 3.1 Pro へのレートリミット付きアクセスが無料で提供されています。
今後の予定プランは:
- Individual: 無料(レートリミットあり)
- Pro: 月〜$20(高レートリミット・優先アクセス)
- Enterprise: 月$40〜$60/ユーザー(SSO・データレジデンシー・管理機能)
Cursor
- 無料: 月500回のオートコンプリート+週50回のSlowリクエスト
- Pro($20/月): 無制限オートコンプリート+月500回のFastリクエスト
- Business($40/月): チーム管理・SSO・使用状況分析
現時点ではAntigravity は無料で使えるため、コスト面では明確に有利です。
主要機能の対照表
| 機能 | Antigravity | Cursor |
|---|---|---|
| 非同期並列エージェント | ✅ | ❌ |
| Manager View(マルチエージェント管理) | ✅ | ❌ |
| Artifacts(エージェント成果物の可視化) | ✅ | △(差分のみ) |
| Tab 補完精度 | △ | ✅ |
| Cursor Rules / AGENTS.md | ✅(AGENTS.md / GEMINI.md) | ✅(.cursorrules) |
| MCP サポート | ❌(未対応) | ✅ |
| ローカルモデル | ❌ | △(限定的) |
| 拡張機能(VS Code 互換) | ✅ | ✅ |
| Web 検索エージェント | ✅ | △ |
| 無料プランの充実度 | ✅✅ | △ |
向いているユースケース
Antigravity が向いているケース
- 並列・非同期で大きなタスクをこなしたい開発者:Manager View で複数エージェントを管理し、一人でフルスタック開発をこなしたい場合
- Google エコシステムを活用したい場合:Firebase、Google Cloud、Gemini API との連携がシームレス
- コストを抑えたい個人開発者:Public Preview 中は完全無料
- Artifacts でエージェントの思考プロセスを可視化したい場合
Cursor が向いているケース
- Tab 補完を中心とした日常的なコーディング補助:精度の高い補完で生産性を上げたい場合
- MCP サーバーとの連携が必要な場合:Antigravity は現時点で MCP 未対応
- 既存の Cursor ワークフローを活用したいチーム:.cursorrules など成熟したエコシステム
- 複雑なコードベースでの実績を重視する場合
どちらを選ぶべきか
Antigravity を選ぶべき人: → 並列エージェントによる大規模タスクの自動化を試したい。無料で最新の Google AI を活用したい。Manager View の非同期ワークフローに興味があります。
Cursor を選ぶべき人: → MCP 連携が必須。Tab 補完の品質を重視します。既存のワークフローを大きく変えずに AI 支援を取り入れたい。
両方を使うという選択肢もあり: Cursor を日常のコーディング補助として使い、大きなリファクタリングや新機能実装では Antigravity の Manager View を活用するハイブリッド戦略も有効です。
まとめ
Google Antigravity と Cursor は「AI IDE」という共通点を持ちながら、根本的な哲学が異なります。Antigravity はエージェントの自律性と並列実行を最大化する方向に進化しており、Cursor は開発者との密な協調コーディング体験を磨き続けています。
2026年現在、Antigravity は Public Preview として無料で利用できる点で大きなアドバンテージを持っています。MCP 非対応などの制約が解消され次第、Cursor から乗り換えを検討する開発者が増えるでしょう。今のうちに Antigravity の非同期エージェントワークフローを体験しておくことをおすすめします。