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Antigravity 基本/2026-05-31上級

独立した複数リポジトリでエージェント運用の一貫性を保つ — マルチリポ・ガバナンス設計の実装メモ

monorepo ではなく、独立した複数リポジトリにまたがって Antigravity エージェントの振る舞いを揃える設計手法を、4サイト並行運用の実体験から整理しました。AGENTS.md の単一ソース配布、ドリフト検出、品質ゲートの横展開までを実装コード付きで解説します。

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リポジトリを 2 つに増やした日のことを、今でもよく覚えています。1 つ目のリポジトリで丁寧に育てた AGENTS.md を、2 つ目へコピーして貼り付けました。3 つ目を作ったときは、もうどちらが新しいのか分からなくなっていました。エージェントは各リポジトリで律儀に「指示通り」動くのですが、その指示自体が少しずつズレていく。気づいたときには、同じ「敬体で書く」というルールが、片方では更新されもう片方では古いまま、という状態になっていました。

私は現在、技術スタックの近い 4 つのサイトを独立したリポジトリとして並行運用しています。monorepo にまとめてしまえば設定の共有は簡単ですが、デプロイ単位・公開タイミング・障害の影響範囲を切り離したいという事情から、あえて別々のリポジトリにしています。この「独立しているが、エージェントには同じ規律で動いてほしい」という要求が、マルチリポ・ガバナンスという設計課題です。

ここから扱うのは、Antigravity のエージェントを複数の独立リポジトリで運用するときに、振る舞いの一貫性をどう担保するかという問いです。実際に使っている同期スクリプトとドリフト検出の実装込みで整理します。公式ドキュメントが触れていない、「規約が静かに腐っていく」という長期運用特有の問題への対処が中心です。

なぜ monorepo ではなく、わざわざ複数リポジトリなのか

最初に前提を揃えておきます。「設定を共有したいなら monorepo にすればいい」という指摘は正論で、実際それが最も素直な解です。pnpm workspace や Nx で 1 つの AGENTS.md をルートに置けば、全プロジェクトが同じ規約を見ます。

それでも独立リポジトリを選ぶ合理的な理由はいくつもあります。私の場合は次の 3 つでした。

第一に、障害の影響範囲を物理的に分離したかったこと。1 サイトの設定ミスやビルド破壊が、他の 3 サイトの CI を巻き込むのを避けたい。第二に、デプロイ権限とトークンをサイトごとに完全分離したかったこと。1 つのトークンが漏れても被害が 1 リポジトリに留まる設計です。第三に、公開タイミングとコミット履歴を独立させたかったこと。サイトごとに別人格として育てているので、履歴が混ざるのは美しくない、という個人開発者の美意識もあります。

つまりマルチリポは「設定共有を犠牲にしてでも分離したい」ときの選択です。だからこそ、犠牲にした設定共有を別の仕組みで取り戻す必要が出てきます。それがガバナンス層です。

規約はコピーした瞬間から腐り始める

複数リポジトリでエージェントを動かすと、必ずドリフト(drift、緩やかなズレ)が発生します。私が観測したドリフトは大きく 3 種類でした。

ひとつは ルールのバージョンドリフトです。あるリポジトリで AGENTS.md に新ルールを足しても、他にコピーし忘れる。エージェントはコピーされていないリポジトリでは古いルールのまま動きます。

ふたつめは ゲートスクリプトのドリフトです。品質チェックの Python スクリプトを 1 箇所で直しても、他の N-1 箇所が古いまま。同じ違反が片方では弾かれ、片方では通ってしまいます。

みっつめが厄介で、暗黙の慣習ドリフトです。AGENTS.md には書かれていないけれど、あるリポジトリのコミット履歴を見てエージェントが学習する「空気」のような規約。これはファイル比較では検出できません。

実装上の注意点として、この記事で対処するのは前者ふたつ、つまりファイルとして可視化できるドリフトです。本番運用ではこの 2 種類こそが事故に直結します。みっつめは後述する「正本の一元化」で間接的に抑えます。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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この記事で得られること
独立した N 個のリポジトリで AGENTS.md と品質ゲートを単一ソースから配り、ドリフトを検出する仕組みを実装できる
monorepo を採用できない事情下でも、エージェントの振る舞いを横断的に揃える層別アーキテクチャを設計できる
4サイト並行運用で実際に破綻を防いだ同期スクリプトと差分監査の具体パターンを持ち帰れる
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