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Antigravity 基本/2026-06-16上級

応答が4倍速くなったエージェントで、並行パイプラインの設計を組み直す

Antigravity CLI が高速モデルに載せ替わったとき、エージェントの並行パイプラインで律速になる場所は移動します。検証・粒度・並行度・コスト上限を、速度を前提に組み直すための実践的な判断軸をまとめました。

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夜間に走らせている記事生成の補助パイプラインを、新しい Antigravity CLI に載せ替えた朝のことです。動力が高速なモデルに替わり、1ステップあたりの応答は体感で3〜4倍ほど速くなっていました。当然、全体のスループットも同じだけ伸びると思っていました。

ところが、実測してみると改善はおよそ1.4倍に留まっていました。エージェントの「考える時間」は確かに短くなったのに、パイプライン全体はそれほど速くなっていなかったのです。

理由を追っていくと、設計の前提そのものが古くなっていたことに気づきました。モデルが遅かった頃に「待ち時間を埋める」ために組んだ構造が、速くなった途端に足を引っ張っていたのです。個人開発で複数のアプリと媒体を並行運用していると、こうした自動パイプラインの効率は地味に効いてきます。速度が変わったときに、設計のどこを組み直すべきか。今回はその判断軸を整理します。

速度が上がると、待ち時間ではなく「検証」が律速になります

遅いモデルを前提にした並行パイプラインは、たいてい「推論待ちの時間をいかに隠すか」を中心に組まれています。複数のタスクを同時に投げ、片方が考えている間にもう片方の結果を処理する。推論レイテンシが支配的なうちは、これで全体がきれいに速くなります。

ところが推論が4倍速くなると、相対的に他の処理が前面に出てきます。私のパイプラインで律速になっていたのは、各ステップの後に走らせていた検証処理でした。生成物のフォーマット確認、リンク切れチェック、ビルド可否の判定。これらは外部プロセスやネットワークに依存するため、モデルが速くなっても短くなりません。

つまり、速度を上げると「推論 : 検証」の比率が逆転します。以前は推論が8割・検証が2割だったものが、推論2割・検証8割になる。このとき検証を据え置いたまま並行度だけ上げても、検証の待ち行列が膨らむだけで全体は速くなりません。最初に向き合うべきは、この比率の逆転です。

タスクの粒度を小さく刻み直す

遅いモデル時代の定石は「1回の呼び出しでまとめて大きな仕事をさせる」ことでした。呼び出し1回あたりのレイテンシが重いので、往復回数を減らすのが合理的だったからです。

速くなると、この前提が崩れます。往復が軽くなった分、大きな単位は逆に不利になります。大きなタスクは一度失敗すると、やり直しのコストも大きいからです。1回で5ファイルを生成させて4ファイル目で失敗すると、成功した3ファイル分も含めて巻き戻すことになります。

私はこのパイプラインで、生成単位を「記事1本まるごと」から「セクション単位」へ刻み直しました。失敗の影響範囲が1セクションに閉じ、リトライも軽くなります。粒度を小さくすると往復回数は増えますが、1往復が安くなった今ならその増加は吸収できます。判断の目安として、私は「1タスクの失敗で巻き戻る作業量が、そのタスク自体のコストを上回るなら、粒度が大きすぎる」と考えています。

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この記事で得られること
高速モデルで律速が『待ち時間』から『検証』へ移る理由と、2段構えの検証ループの組み方
並行度を速さではなくブラスト半径で決める具体的なしきい値の置き方
コスト上限とリトライ予算を設計に埋め込み、4倍速を暴走させない実装の骨格
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