ANTIGRAVITY LABEN
記事一覧/Agents & Manager
Agents & Manager/2026-05-28上級

Qwen3.7-Max が示す『35時間自律』の重み — Antigravity と Claude Code を併用する個人開発者の設計メモ

Alibaba Qwen チームの新モデル Qwen3.7-Max が公開した『35時間自律実行・1158回ツール呼び出し』のデモを起点に、Antigravity と Claude Code を併用している個人開発者の視点で、長時間自律タスクの設計・モデル選定・コスト試算を整理しました。

qwen3-7-maxautonomous-agent2long-horizonantigravity436claude-code3model-selection2mcp14

プレミアム記事

個人でアプリ事業とブログメディアを並行して運営していると、一日の生産性を左右するのは「自分が寝ている間にどれだけ仕事が進むか」だと痛感します。複数サイトの自動投稿パイプラインを組み、夜間にバッチを走らせる運用を続けるなかで、私が繰り返し感じてきたのは、人間の手を離れた時間が長いほど、最初に与えた方針の質が指数的に効いてくるという感覚でした。Antigravity と Claude Code を毎日併用している個人開発者の立場から、この「自律時間」の設計を改めて考え直す材料が、ある新モデルのデモに詰まっていました。

先日 GIGAZINE が報じた Alibaba Qwen チームの新モデル Qwen3.7-Max は、まさにその「人間の手を離れた時間」の限界をひとつ押し広げたモデルでした。SGLang の Extend Attention Kernel を、学習時に見ていない T-Head ZW-M890 PPU 上で、約35時間・432回のカーネル評価・1158回のツール呼び出しを通じて自律的に最適化し、Triton 参照実装に対して幾何平均で10倍の高速化を達成したと報告されています。Claude Code を中心に Antigravity も併用している個人開発者として、このデモから自分のワークフローに取り込める設計を整理しておきます。

参考にした元記事はこちらです:Alibaba が AI エージェント向け新モデル「Qwen3.7-Max」を発表、35時間の自律作業と1000回超のツール呼び出しに対応 — GIGAZINE

35時間という数字を、個人開発者の現実に翻訳する

「35時間ぶっ通しで自律実行」と聞くと、企業の研究開発の話に聞こえます。ですが、自分の現場に落とすとこういう数字です。

  • ブログ運用での自動投稿パイプラインは、4サイト×4本/日=16タスクが毎日走る
  • アプリ事業では、月1回のアセット差し替えと半年に1回の OS 対応更新がある
  • 文献調査や競合分析は、数日かけて段階的に深まる

このうち「途中で人間が介入しないまま、複数の依存関係を整理して進める」性質のものに、Qwen3.7-Max のような長時間自律モデルが効きます。逆に、毎ステップ人間の判断が必要なタスクは、35時間の数字が意味を持ちません。Qwen3.7-Max のデモが示しているのは「自律で続けられる粒度のタスクなら、人間が介入しなくても改善し続けられる」という設計可能性です。

私の現場で、まずこの設計が効きそうなタスクは下記の3つです。

  1. アプリの A/B テスト自動化 — eCPM が時間帯で変動する AdMob まわりを、夜中に走らせて翌朝レポート
  2. ブログサイトの内部リンク再設計 — 1記事追加するたびに既存記事の内部リンク候補を再計算
  3. 記事の文体パーソナライズ検証 — 5,000本超のストックに対して、月1回の文体スコアリング

35時間に達するタスクは稀でも、「8〜12時間の長時間タスクが安定して走るかどうか」は、個人開発者にとって死活的に重要な基準になります。

Qwen3.7-Max のベンチマークを、私が見ている価格レンジで読み直す

GIGAZINE の元記事には、Qwen3.7-Max の主要ベンチマークが整理されていました。コーディング AI エージェント関連だけ抜き出すと下記です。

ベンチマークQwen3.7-MaxDeepSeek-V4-Pro MaxClaude Opus-4.6 Max
Terminal-Bench 2.0 Terminus-269.767.9
SWE-bench Verified80.480.680.8
MCP-Mark60.8
MCP-Atlas76.475.8

SWE-bench Verified が 3 モデルで 80 前後にきれいに揃っているのは、コーディング系の上位帯がほぼ天井に近づいているサインだと読み取っています。差がつくのは MCP-Mark・MCP-Atlas のような「実行環境をまたいでも崩れないか」を測る評価です。Qwen チームが Claude Code・OpenClaw・Qwen Code の各実行環境で一貫した性能が出たと強調しているのは、ここを評価軸として打ち出したいからでしょう。

私の選定基準は、ベンチマークの絶対値ではなく次の3点です。

  1. 長時間タスクで落ちないか — 8時間以上のジョブで再現可能か
  2. MCP の癖に引っ張られないか — 同じプロンプトを別環境で動かしたとき、結論が大きくブレないか
  3. トークン単価が読めるか — 月の運用予算に対して、価格変動が突然来ないか

Qwen3.7-Max は Alibaba Cloud Model Studio 経由で OpenAI 互換 API と Anthropic 互換 API の両方が用意される予定とされており、既存の Claude Code 用ハーネスをそのまま使い回せる可能性が高いのが個人開発者には大きな利点です。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

この記事の続きを読む

この先には、実装コードやベンチマーク結果など、実務でお役に立てる内容をご用意しています。このサイトは広告を掲載しておらず、サーバーや開発にかかる費用はメンバーの皆様のご支援で成り立っています。もしお役に立てていましたら、ご支援いただけますと大変ありがたいです。

この記事で得られること
Qwen3.7-Max の35時間カーネル最適化デモを、Antigravity のタスク設計に翻訳するための4つの分解軸が手に入る
Claude Opus 4.6・DeepSeek-V4-Pro・Qwen3.7-Max の SWE-bench Verified スコア(80.4/80.6/80.8)と価格レンジから、個人開発者のモデル選定基準を導出
MCP-Mark・MCP-Atlas で測られている『環境依存しない問題解決能力』を、自分のリポジトリで再現する評価セットの作り方を学べる
Stripe による安全な決済 · いつでもキャンセル可能

この記事を購入する

この先の内容をすべてお読みいただけます。一度のご購入で、いつでも何度でもアクセスできます。このサイトは広告を掲載しておらず、皆さまのご支援がサーバー費用などの運営を支えています。

または
メンバーシップなら全記事が読み放題 →
シェア

お読みいただきありがとうございます

Antigravity Lab は広告なしで運営しており、サーバー費用などの運営コストはメンバーシップのご支援で賄っています。実装コード・ベンチマーク・本番設計パターンなど、実務でお役立ていただける記事を毎日更新しています。もし読んでよかったと感じていただけましたら、ぜひご覧ください。

  • コピー&ペーストで使える実装コード付き
  • 毎日新しい上級ガイドを追加
  • ¥580/月 または ¥1,480 の永久アクセス
メンバーシップを見る →

関連記事

Agents & Manager2026-04-29
Antigravity のモデル選択ドロップダウンが空になる問題 — 原因の切り分けと復旧手順
Antigravity でモデル選択ドロップダウンに何も表示されない・モデルを選べない症状について、認証・ネットワーク・設定ファイルの観点から原因を切り分けて復旧する手順を解説します。
Agents & Manager2026-07-15
ls には見えるのに、エージェントが開けない — 日本語ファイル名が macOS と Linux で別物になるとき
エージェントが「そのファイルは存在しません」と言い、ターミナルの ls には確かに写っている。三日かけて同期を疑った末に辿り着いたのは、濁点が一文字ではなかったという事実でした。検出スクリプトと三層ゲートまで残します。
Agents & Manager2026-07-08
エージェントに任せた仕事の「やり直し率」を測る — 委譲境界を勘ではなく数字で引く
どこまでをエージェントに任せるか。この線引きを私は長らく勘で引いていました。タスク種別ごとの「やり直し率」を git 履歴から算出し、委譲境界を数字で引き直す実践を、動くコードとともに整理します。
📚RECOMMENDED BOOKS
大規模言語モデル入門
山田育矢
LLM開発
生成AIプロンプトエンジニアリング入門
我妻幸長
プロンプト
Claude CodeによるAI駆動開発入門
平川知秀
AI駆動開発
※ アフィリエイトリンクを含みます
もっと見る →