「いつもは普通に Gemini や Claude が並んでいるはずのモデル選択ドロップダウン。今日はクリックしても空っぽで、何も選べない」— これは、Antigravity を毎日使っている方なら一度は遭遇する症状ではないでしょうか。私自身、サブスクの請求日に突然モデルが消えたり、社内ネットワークに繋いだ瞬間に選択肢が消滅したりして、原因究明に小一時間を費やしたことが何度かあります。
この症状の厄介なところは、エラーメッセージが画面に表示されないケースが多いことです。ただドロップダウンが空になっているだけで、「何が起きているのか」を知るためには自分で原因を切り分けていく必要があります。ここではよくある4つの原因を順番に潰していく方法を、診断コマンド付きで紹介します。
まず確認すべきこと — どこまで「空」になっているか
「モデルが空」と一口に言っても、症状にはいくつかパターンがあります。最初に切り分けておくと、後の診断が一気に楽になります。
- すべてのモデルが消えている: 認証またはネットワークの問題である可能性が高い
- Gemini 系だけ消えている / Claude 系だけ消えている: 特定プロバイダーの API キー失効・課金停止
- ローカルモデル(Ollama / LM Studio)が出てこない: ローカル接続設定の問題
- 昨日まで使えていたモデルがグレーアウト: モデルの提供終了 or 権限変更
ドロップダウンを開いた状態で右上の「⟳ Refresh model list」ボタン(バージョン 1.20 以降)を押すと、強制的にモデル一覧を再取得できます。これで復旧する場合は一過性の通信エラーだったということで、深追いする必要はありません。
リフレッシュしても改善しないときに、本格的な原因切り分けに入ります。
原因①:認証セッションの失効
最も多いのが、Antigravity アカウントのセッションが切れているケースです。Google アカウントのパスワード変更、別端末からのサインイン、長期間スリープ中の PC など、いろいろな経緯で発生します。
ステータスバー右下のユーザー名をクリックし、「Account」を開いてみてください。「Sign in to continue」「Session expired」のような表示があれば、ここが原因です。
復旧手順はシンプルです。
# 1. Antigravity を一度完全終了する
# macOS: ⌘Q / Windows: ファイル → 終了
# 2. 再起動後、コマンドパレット(⌘⇧P)で
> Antigravity: Sign Out
# 3. 続けて
> Antigravity: Sign Inサインアウト → サインインを挟むことで、トークンが完全に再発行されます。「サインインしているように見えるけれど、実は内部的に切れている」という中途半端な状態を解消できるので、迷ったらこの手順から試すのがおすすめです。
原因②:API キー・課金状態の問題
Antigravity は内部的に、Gemini API(Google)や Anthropic API などの認可情報を ~/.antigravity/credentials.json に保持しています。Pro プラン契約中であれば自動的に管理されますが、独自 API キーを設定している場合は、キーの失効や課金停止で対象モデルだけが選択肢から消えることがあります。
確認する一番確実な方法は、コマンドラインから API に直接疎通テストすることです。
# Gemini API キーの動作確認(YOUR_GEMINI_API_KEY を実際のキーに置き換え)
curl -s "https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/models?key=YOUR_GEMINI_API_KEY" \
| head -30
# 期待する出力: {"models":[{"name":"models/gemini-...
# 401 / 403 が返ってきたらキーが無効、または請求設定に問題ありレスポンスが正常なら API 側は生きています。それでも Antigravity 側のドロップダウンに出ないときは、Settings → AI Providers で「該当プロバイダーが Enabled になっているか」「API キーが正しく貼り付けられているか(前後に空白が入っていないか)」を確認してみましょう。
なお、Pro プラン中で独自キーは使っていないという方の場合、たまに Google Cloud 側の課金設定で「予算アラート上限超過」によって API が一時停止しているケースもあります。Google Cloud Console の「お支払い」セクションも合わせて確認するとよいでしょう。
原因③:プロキシ・ファイアウォールによる通信ブロック
社内ネットワークやカフェの Wi-Fi など、第三者ネットワーク経由で接続している場合に発生しやすい症状です。Antigravity は起動時にモデル一覧を https://api.antigravity.google/ から取得しますが、ここへの HTTPS 通信がブロックされると一覧が空になります。
切り分けは次のコマンドで行えます。
# Antigravity API への疎通テスト
curl -I https://api.antigravity.google/v1/models
# 期待する出力: HTTP/2 200
# プロキシ経由の場合は環境変数で指定
export HTTPS_PROXY="http://proxy.example.com:8080"
curl -I https://api.antigravity.google/v1/models社内プロキシを使う環境では、Antigravity の設定にもプロキシ情報を反映する必要があります。
// ~/.antigravity/settings.json
{
"network": {
"proxy": "http://proxy.example.com:8080",
"proxyStrictSSL": true
}
}ファイアウォール側で *.googleapis.com と api.antigravity.google をホワイトリストに加えてもらうのが、企業環境では最終的な解決策になることが多いです。一時的にテザリングなどで個人回線に切り替えてモデル一覧が出るようなら、ネットワーク側に原因があると断定できます。
原因④:ワークスペース設定によるモデル制限
これは見落としやすいのですが、プロジェクト単位の設定でモデル一覧を絞り込んでいるケースもあります。チームで共有しているリポジトリでは特に注意が必要です。
# プロジェクトルートで以下を確認
cat .antigravity/agents.json 2>/dev/null
# 出力例:
# {
# "allowedModels": ["gemini-2.5-pro"],
# "defaultModel": "gemini-2.5-pro"
# }allowedModels に1モデルしか書かれていなければ、ドロップダウン自体が「選択肢が事実上ない状態」になります。チームで設定を統一している場合は問題ありませんが、自分一人で気軽に他のモデルも試したい場合は、このファイルを編集するか、グローバル設定(~/.antigravity/settings.json)の方を優先する設定に切り替えてください。
// プロジェクト設定を無視してグローバル設定を使うには
{
"agents": {
"ignoreWorkspaceAllowList": true
}
}ただし、チームで運用ルールを決めている場合は勝手に変更せず、メンテナーに相談するのが筋です。
それでも直らないときの最後の手段
ここまでの4つを潰しても症状が改善しないことが、まれにあります。多くの場合、ローカル設定が壊れているか、キャッシュが破損しているかのどちらかです。
一度設定をリセットして、まっさらな状態から起動し直してみるのが効きます。
# 設定とキャッシュをバックアップしつつ退避
mv ~/.antigravity ~/.antigravity.backup_$(date +%Y%m%d)
# Antigravity を再起動 → 初回サインインからやり直し
# モデル一覧が復活すれば、原因はローカル設定の破損
# 必要な設定は backup ディレクトリから手動で戻すバックアップを残してから退避させているので、戻したい設定があればあとから救出できます。「いきなり全部消すのは怖い」という方も、これなら安心して試せます。
次のアクション
モデル選択ドロップダウンが空になる症状は、原因が複数の層にまたがっているため、闇雲に再起動を繰り返すよりも今回紹介した4つの観点を順番にチェックしていく方が明確に早く復旧できます。次回また同じ症状が出たときは、まずドロップダウン上部の「⟳ Refresh model list」を押す、それで直らなければアカウントのサインアウト & サインインを試す、という順番だけ覚えておくと、ほとんどのケースは数分で解決します。
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