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Agents & Manager/2026-06-19上級

エージェントを増やしても速くならない領域がある — 並列と直列の線引きを設計する

Antigravity 2.0 の複数エージェント並列実行は強力ですが、同時実行数を上げるほど速くなるわけではありません。どの仕事を並列にし、どこを直列のまま残すかを、不変条件と依存グラフから逆算して決める設計の考え方を、個人開発の実運用とあわせてまとめました。

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同時に走らせるエージェントの数を 2 から 4 に増やした日、全体の仕上がりがむしろ遅くなりました。個人開発で Dolice Labs の複数サイトを並行運用している私自身、各サイトの記事生成を別々のエージェントに割り当てれば単純に倍速になるはずだ、と踏んでいたのです。実際には、生成そのものは速くなったのに、最後の検証と push がひとつの順番待ちの列に詰まり、待ち時間が増えていました。

Antigravity 2.0 が「複数エージェントの真の並列実行」を前面に出したことで、あるエージェントがコンポーネントを書き、別のエージェントが API ルートを組み、さらに別のエージェントが視覚回帰テストを回す、という構図が現実になりました。ただ、並列の口が広がったぶん「とりあえず全部並べれば速い」という錯覚も起こりやすくなっています。本題は、どの仕事を並列にし、どこを直列のまま残すかを、感覚ではなく構造から決めることです。

並列化が「タダ」だと錯覚する瞬間

並列実行が無条件に得だと感じるのは、各エージェントの仕事を独立した箱として眺めているときです。けれど実運用では、箱と箱は見えない線でつながっています。同じ git の作業ツリー、同じディスク、同じモデル API のレート枠、そして「日本語版と英語版の記事数を一致させる」といった全体にまたがる不変条件。これらはどれも、並列に踏み込んだ瞬間に競合の火種になります。

並列化で得られるのは「独立に進められる部分」の短縮だけです。共有資源に触れる部分や、順番が意味を持つ部分は、エージェントを何台積んでも縮みません。むしろ、調整のためのロックや再試行が増えて遅くなることすらあります。最初にやるべきは台数を増やすことではなく、自分の仕事のどこが独立していて、どこが共有なのかを言葉にすることです。

並列にしてよい仕事を見分ける3つの問い

ある作業を並列の列に入れてよいかは、次の3つの問いで判定できます。ひとつでも「いいえ」が混ざる場合は、そのまま並べると壊れる可能性が高い処理です。

問いはい(並列向き)いいえ(直列に寄せる)
成果物は他と独立しているかサイトAの下書きとサイトBの下書きは互いを参照しない後段が前段の出力をそのまま入力にする
共有する可変状態に書き込むか各自が別ファイル・別ブランチにだけ書く同じインデックス・同じ集計ファイルを更新する
外部のレート制限を共有するか呼び出し先が分かれている、または上限に十分余裕がある同一モデルの同一クォータを全員で食い合う

この3問のうち、見落とされやすいのが3つ目です。エージェントごとの処理は独立していても、全員が同じ Gemini のクォータを叩いていれば、並列数を上げた瞬間に 429 エラーが増え、再試行で実時間が膨らみます。本番運用では、ここを避けるために同時呼び出し数に上限を設けるのが安全です。注意点として、並列度の上限は「手元の台数」ではなく「共有資源のうち最も細い管」で決まると考えてください。

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この記事で得られること
並列にしてよい仕事を見分ける3つの問い(独立した成果物か・共有する可変状態があるか・外部レート制限を共有するか)と判定表
依存グラフからクリティカルパスと同時実行可能集合を求める、コピペで動くスケジューラ実装(JavaScript)
並列数を上げても線形に速くならない理由を実測で確かめる計測ハーネスと、直列のまま残すべき結合処理の設計指針
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