Antigravity を使い続けていると、「エージェントの応答が遅くなった」「UI がフリーズする」といった現象に遭遇することがあります。パフォーマンス低下の主な原因と、それぞれの効果的な対処法を順を追って整理していきます。
Antigravity が遅くなる5つの主な原因
1. プロジェクトコンテキストが大きすぎる
Antigravity は、プロジェクト内のすべてのファイルをコンテキストとして AI に送信することで、正確な回答を生成しています。ファイル数やファイルサイズが増えると、コンテキストサイズが膨張し、API 処理時間が大幅に増加します。
具体例:
- プロジェクトに 1,000 個を超えるファイル
node_modulesが完全に含まれている(通常 50,000 ファイル以上)- ビルド出力フォルダ(
dist/,build/)がコンテキストに含まれている - キャッシュファイルやログフォルダが含まれている
対処法:
.antigravityignore ファイルを作成し、不要なフォルダを除外します:
node_modules/
.git/
dist/
build/
.next/
out/
*.log
.DS_Store
.env
__pycache__/
*.pyc
coverage/
.pytest_cache/
または、.gitignore をベースに拡張:
# .gitignore をコピーして .antigravityignore を作成
cp .gitignore .antigravityignore
# さらに、生成ファイルを追加
echo "dist/" >> .antigravityignore
echo ".next/" >> .antigravityignoreこの対策だけで、応答時間が 50% 以上短縮されることもあります。
2. MCP サーバーが多すぎる
複数の MCP(Model Context Protocol)サーバーを有効にしていると、Antigravity が各サーバーとの接続を維持・検証する処理が増え、全体の動作が重くなります。
症状:
- 新しいエージェントの初期化に 30 秒以上かかる
- エージェントが MCP を使用しない呼び出しでも遅い
- 同時に複数エージェントを動かすとクラッシュする
対処法:
実際に使用していない MCP を無効化します:
- Antigravity 設定 → MCP Configuration
- 各 MCP の右側にあるトグルをオフ
- または、定期的に使用する MCP だけを有効化し、不要な時期は無効化
頻繁に使うのは通常 3〜5 個程度(例:GitHub, Figma, Custom API)。それ以上ある場合は、優先度を整理してください。
3. AI モデルの選択
Antigravity では複数のモデルが選択可能です。高機能なモデルほど処理時間が長くなり、クレジット消費も増えます。
各モデルの特性:
- Claude 3.5 Sonnet(Pro): 高精度だが最も遅い(応答: 5〜30秒)
- Claude 3.5 Haiku(Flash): 軽量・高速(応答: 1〜5秒)
- Claude Opus: 非常に高精度だが最も遅い(応答: 10〜60秒)
最適な使い分け:
- 初期検索・リサーチ: Haiku
- コード生成・デバッグ: Sonnet
- 複雑なビジネスロジック・戦略立案: Opus
設定例:
// Antigravity 設定内の「Agent Model」セクション
- デフォルト: Claude 3.5 Haiku
- 複雑タスク用に 1 エージェント: Claude 3.5 Sonnet
Haiku を既定値にするだけで、平均応答時間は 40% 短縮できます。
4. ブラウザメモリ使用量
Antigravity が長時間動作していると、ブラウザのメモリ使用量が増加し、UI 反応が鈍くなります。特に、複数のタブやウィンドウを開いている場合に顕著です。
確認方法(Chrome を例):
- 右上のメニュー → 「その他のツール」 → 「タスクマネージャー」
- Antigravity のプロセスを探す
- メモリ列を確認(1GB 以上なら要注意)
対処法:
- UI メモリリーク: Antigravity を再起動
- 拡張機能の競合: Antigravity 以外の拡張機能を一時的に無効化
- 複数プロジェクト同時使用: 1 時点では 1 プロジェクトに限定
Antigravity 設定 → パフォーマンス → 「キャッシュサイズ」を下げることも効果的です。
5. ネットワーク遅延・VPN の影響
API 呼び出しのレイテンシが高い環境では、Antigravity の応答時間も必然的に増加します。
確認方法:
# API サーバーの応答時間を測定
ping api.antigravity.cloud
# または、curl でレイテンシを計測
curl -w "@curl-format.txt" -o /dev/null -s https://api.antigravity.cloud/health対処法:
- VPN 利用時: VPN サーバーの切り替え、または無効化を試行
- 企業ネットワーク: ネットワーク管理者に遅延を報告
- リージョン指定: Antigravity 設定で最寄りのリージョン(例:東アジア)を選択
エージェントが応答しない場合の対処法
「エージェントが思考中のまま進まない」という場合:
確認ステップ
- ネットワーク接続: インターネット接続を確認(
ping 8.8.8.8) - ブラウザコンソール: F12 → Console で赤いエラーメッセージを確認
- API スタータス: Antigravity 公式ページで API 障害情報を確認
- クレジット残高: アカウント → Billing で残高確認(0 の場合は使用不可)
解決方法
- エージェントを停止:Escape キー または「Stop」ボタン
- Antigravity を再起動
- キャッシュクリア:Ctrl+Shift+Delete(Chrome) または設定 → キャッシュをクリア
- プロジェクトを再度開く
コード出力が途中で切れるとき — 「遅い」とは別の対処が要ります
応答が遅いのと、出力が途中で切れるのは、見た目が似ていても原因が違います。関数の } が閉じられないまま終わる、インポート文だけで本体がない——こういうときは、速度のチューニングではなく、出力トークンを確保することが要点になります。
まず症状を3つに切り分けると、打つ手が決まります。
- A: 関数やクラスの途中でコードが切れる — 出力トークンを使い切って、AI が生成を諦めた状態です。
- B: 「続きを書いて」と頼むと前の内容を忘れる — チャット履歴が長くなり、古い文脈が押し出されています。
- C: 「ファイルが長すぎる」と明示的にエラーが出る — 最もわかりやすく、入力側が大きすぎるサインです。
切れたら、続けずに新しいセッションで頼み直す
長いセッションの続きで追加を頼むより、新しいセッションを開いて必要な部分だけを渡すほうが安定します。
# 長いセッションでの追加依頼(切れやすい)
「さっきのコードに認証機能を追加してください」
# 新しいセッションでの依頼(推奨)
「以下の関数に JWT 認証を追加してください。変更対象は auth.ts のみです。
export function checkAuth(req: Request) { /* ... */ }」
文脈の整理については、大規模コードベースでの Context Window 管理でも触れています。
「変更後のコードだけ返してください」で出力枠を空ける
依頼文に一行添えるだけで、前置きや全文の再掲が減り、コード生成に回せるトークンが増えます。
「fetchUserData 関数にエラーハンドリングを追加してください。
変更後の関数コードだけを返してください(他の関数や説明は不要です)」
私自身、個人開発で長いファイルを一度に直そうとして何度も途中で切られました。変更する関数だけを切り出して「その関数だけ返してください」と頼む形に変えてから、出力切れはほとんど起きなくなっています。広く頼まず、狭く何度も——これが一番効きます。
.gitignore と .antigravityignore の適切な設定
両者の使い分けが重要です。
.gitignore
- Git に追跡させたくないファイル(秘密情報、ビルド出力、依存関係)
.antigravityignore
- Antigravity のコンテキストから除外するファイル
- より広範囲に設定可能(
node_modulesも含める)
推奨テンプレート:
# 依存関係(大量のファイル数)
node_modules/
.venv/
env/
vendor/
# ビルド出力
dist/
build/
out/
.next/
.nuxt/
__pycache__/
# 開発用ツール
.git/
.vscode/
.idea/
*.log
# OS ファイル
.DS_Store
Thumbs.db
# キャッシュ
.cache/
.pytest_cache/
.eslintcache/
# バイナリ
*.zip
*.tar.gz
Planning Mode vs Fast Mode の使い分け
Antigravity には 2 つの実行モードがあります。
Planning Mode(思考型):
- 複雑なロジック・複数ステップが必要な場合
- 応答時間: 30〜120秒
- クレジット消費: 多い
- 精度: 最高
Fast Mode(高速型):
- 簡単な質問・リサーチ
- 応答時間: 5〜15秒
- クレジット消費: 少ない
- 精度: 中程度
使い分けの例:
タスク | 推奨モード
新規プロジェクト立ち上げ | Planning Mode
既存コードの小さなバグ修正 | Fast Mode
複数モジュール間の設計相談 | Planning Mode
ライブラリの使い方リサーチ | Fast Mode
Fast Mode を既定値にし、必要に応じて Planning Mode を選択するのが最も効率的です。
メモリ・ストレージ最適化のコツ
プロジェクトの整理
定期的に不要なファイルを削除します:
# 大きなファイルを特定
find . -size +10M -type f | grep -v node_modules
# 古いログ・キャッシュを削除
rm -rf logs/
rm -rf .cache/
# コンテキストサイズの確認
du -sh .ローカル生成ファイルの除外
# 生成スクリプトの出力を .antigravityignore に追加
echo "generated/" >> .antigravityignore
echo "*.generated.js" >> .antigravityignoreAuto-continue 設定の見直し
Auto-continue は、エージェントが自動的にタスクを継続する機能です。有効にすると便利ですが、エラーが生じやすく、クレジット消費が増えます。
設定変更:
Antigravity → Agent Settings → Auto-continue
- 無効(推奨): ユーザーが各ステップを確認してから進める
- 有効: エージェントが自動継続(クレジット消費多、予期しない動作の可能性)
パフォーマンスが低下している場合は、一度無効にしてから徐々に有効化するのがお勧めです。
クレジット消費を抑えながらパフォーマンスを維持するコツ
モデル選択の最適化
通常業務 | Haiku (¥0.5/1M tokens)
設計・複雑ロジック | Sonnet (¥3/1M tokens)
研究・高度な分析 | Opus (¥15/1M tokens)
1 日の作業で Haiku 80%、Sonnet 20% の配分にすると、クレジット消費を 30% 削減できます。
コンテキスト圧縮
// 悪い例:全ファイルをコンテキストに含める
"Include all project files"
// 良い例:必要な部分だけを明示
"Files: /src/main.ts, /api/routes.ts"
明示的にファイルを指定することで、API 呼び出しサイズが 50% 削減されることもあります。
バッチ処理
複数の小さなタスクを 1 つのプロンプトにまとめます:
// 非効率:別々に実行(4 回の API 呼び出し)
1. バグを修正
2. テストを追加
3. ドキュメントを更新
4. PR コメントを作成
// 効率的:1 度に依頼(1 回の API 呼び出し)
"Fix bug, add tests, update docs, draft PR comment"
パフォーマンス改善チェックリスト
以下の順序で試してください:
- [ ]
.antigravityignoreでnode_modulesを除外 - [ ] 実際に使用していない MCP を無効化
- [ ] デフォルトモデルを Haiku に変更
- [ ] Auto-continue を無効化
- [ ] ブラウザキャッシュをクリア
- [ ] Antigravity 再起動
- [ ] ネットワーク遅延を計測(Ping/レイテンシ)
参考資料
10 つの Antigravity 生産性 Tips では、速度だけでなく、総合的な作業効率を高めるテクニックを掲載しています。
全体を振り返って
Antigravity の速度低下は、ほぼ確実にコンテキストサイズ、MCP 設定、モデル選択のいずれかが原因です。.antigravityignore で不要なフォルダを除外し、Haiku をデフォルトモデルに設定するだけで、多くのケースで大幅な改善が期待できます。
定期的なメンテナンス(キャッシュクリア、ファイル整理)と、タスクの特性に応じたモード選択が、快適で効率的な Antigravity ライフの秘訣です。