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✦ Tips & 活用術/2026-06-14中級

Antigravity CLI に乗り換えて「速くなった気がする」を、hyperfine で数値にする

Go 製になった Antigravity CLI の起動が速い、という体感を hyperfine で再現可能な数値に落とし込みます。ウォーム/コールドの測り分け、スケジュール実行での積み上がり、回帰を防ぐ CI ゲートまで。

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✦ プレミアム記事

6/18 に Gemini CLI と Code Assist 拡張の提供が終わり、私自身も gemini を叩いていたスケジュール一式を Antigravity CLI へ寄せました。乗り換えた直後にまず感じたのは「ターミナルに戻ってくるのが速い」という曖昧な印象です。Go 製の単一バイナリになったのだから速いはず、という前提も頭にはありました。ただ、印象は印象でしかありません。個人開発で4つのサイト(Dolice Labs)の更新を自動化していると、CLI は1日に数十回起動されます。ここで起動が 0.4 秒変わるなら、運用全体では無視できない差になります。曖昧な体感を、誰でも再現できる数値に変えておきたいと考えました。

なぜ time antigravity --version では測ったことにならないのか

最初に多くの人がやるのは、こうした素朴な計測です。

time antigravity --version
# antigravity 2.0.3
# antigravity --version  0.18s user 0.04s system 88% cpu 0.249 total

この 0.249 秒には、いくつもの別物が混ざっています。シェルが PATH を解決してプロセスを起動する時間、ディスクからバイナリを読み込む時間(初回は特に遅い)、そしてバージョン文字列を出すだけの最小処理。さらに致命的なのは、1サンプルしか取っていないことです。2回目に同じコマンドを叩くと、OS のファイルキャッシュが温まっていて 0.08 秒で返ってくる、ということが普通に起こります。どちらが「本当の起動時間」なのでしょうか。

答えは「目的によって両方とも必要」です。スケジュール実行のように同じバイナリを連続して叩くなら、温まった状態(ウォーム)の中央値が現実に近いです。一方、滅多に起動しないツールや、デプロイ直後の最初の1回を気にするなら、キャッシュが冷えた状態(コールド)が効いてきます。素朴な time はこの区別を持たず、サンプル数も1なので、計測としては成立していないのです。

hyperfine でウォームの分布を取る

そこで hyperfine を使います。Rust 製のベンチマークツールで、ウォームアップ実行・複数回サンプリング・統計処理・外れ値の警告までやってくれます。

# macOS
brew install hyperfine
# Debian/Ubuntu
sudo apt install hyperfine

まずウォーム状態の起動レイテンシです。

hyperfine --warmup 5 --runs 50 \
  'antigravity --version' \
  'gemini --version'

--warmup 5 で計測前に5回空打ちしてキャッシュを温め、--runs 50 で50サンプル取ります。私の手元(M2 / macOS 15)での結果は次のようなものでした(環境依存の参考値です。絶対値ではなく差を見てください)。

Benchmark 1: antigravity --version
  Time (mean ± σ):      28.4 ms ±   2.1 ms
  Range (min … max):    25.9 ms …  34.7 ms    50 runs

Benchmark 2: gemini --version
  Time (mean ± σ):     186.3 ms ±   9.4 ms
  Range (min … max):   171.2 ms … 208.5 ms    50 runs

Summary
  'antigravity --version' ran 6.56 ± 0.61 times faster than 'gemini --version'

ここで初めて「速くなった気がする」が約 6.5 倍という数字になりました。これは妥当な差だと感じます。Node 製の CLI は起動のたびに Node ランタイムを立ち上げ、依存モジュールを読み込みます。Go 製の単一バイナリはそのオーバーヘッドがほぼありません。--version という最小処理で測っているので、ここで見ているのは純粋なプロセス起動コストです。

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