ストア用のスクリーンショットを何十枚も整理しながらエージェントに渡す作業は、個人開発では日常です。そんな私にとって、フォーラムの報告スレッドを読み返していた夜に目に留まった一文は、他人事ではありませんでした。Finder から画像をつかんで内蔵ターミナルに落とすと、ウィンドウ全体に「Upload to Agent」の表示が広がり、指を離してもターミナルには何も入らない、というのです。
ファイルはエージェントの文脈に渡ってしまい、落としたかった行き先には届きません。読んでいて、肩に力が入っていたのだと気づいたのは、スレッドを閉じたあとでした。
公式フォーラムには 2026 年 2 月 26 日付でこの報告が立っており、投稿は 10 月 26 日にも続いています。最初にお伝えしたいのは、恒久的な修正を待つあいだも、作業を止めないための回避策は、いくつか報告されているということです。その回避策を、効く場所ごとに書き残します。
何が起きているのか
報告によると、v1.18.3 以降、ファイルをウィンドウにドラッグすると、全画面の「Upload to Agent」表示がドロップ操作をすべて受け取ってしまいます。そのため、次のことができなくなります。
- 内蔵ターミナルに画像やファイルを落として、パスを挿入すること
- サイドバーのエクスプローラーで、ファイルやフォルダを移動すること
- プロジェクト内の素材を、ドラッグで並べ替えること
直近の 10 月 26 日の投稿は、macOS で Antigravity IDE 2.5.5 を使っている方からのものでした。ターミナルで claude を動かしている最中に Finder から画像を落とすと、同じ表示が出て、何も挿入されなかったそうです。Shift キーを押しながら落とすと、拡張機能のチャット欄には効くものの、ターミナルには効かない、とも書かれています。
私自身は、この症状をいずれの版でも再現して確かめておりません。以下は、フォーラムに書かれた内容を、効く場所別に整理したものとしてお読みください。
| 困っている場所 | 報告されている回避策 | 注意点 |
|---|---|---|
| ターミナルにパスを入れたい | Finder でファイルを選び、Cmd+Option+C でパスをコピーして貼り付ける | 空白を含むパスは引用符が要る |
| エクスプローラーへファイルを移したい | エージェント欄の三点メニューから Customization を開いたあと、ドラッグする | 報告者の環境での挙動。版により違う可能性 |
| Finder からプロジェクトへファイルを入れたい | Cmd+C / Cmd+V、またはフォルダの右クリックから Upload を選ぶ | ドラッグより手数が増える |
| 表示が固まって戻らない | コマンドパレットで「Developer: Reload Window」を実行する | 未保存の編集は先に保存する |
1. ターミナルにはパスをコピーして貼る
いちばん確実そうに見えたのは、ドラッグをあきらめることです。Finder でファイルを選び、Cmd+Option+C を押すと、そのファイルのパスがクリップボードに入ります。それをターミナルに貼ります。
ただ、一つ落とし穴があります。コピーされたパスに空白が含まれていると、そのまま貼ったコマンドが途中で切れてしまうのです。壁紙アプリの素材は、フォルダ名に空白や日本語が入っていることが多く、私の手元でも先に手当てしておきたい点でした。
そこで、空白をエスケープしたパスを出力する小さな関数を作りました。引用の処理が正しく働くことは、空白入りのファイル名で試して確かめています。
# ~/.zshrc または ~/.bashrc に追記
# 引数のファイルを、シェルが解釈できる形(空白をエスケープ)の絶対パスにして
# クリップボードへ入れる。macOS 用(pbcopy を使う)
pp() {
local dir base
dir="$(cd "$(dirname "$1")" && pwd)" || return 1
base="$(basename "$1")"
printf '%q' "${dir}/${base}" | pbcopy
echo "copied: ${dir}/${base}"
}pp "shot 01.png" と打つと、/Users/…/shot\ 01.png のように空白がエスケープされた形で、クリップボードに入ります。realpath コマンドは古い macOS に無いため、cd と pwd で絶対パスを組み立てています。
なぜこう書くのかというと、引用符のつけ忘れは、エージェントに渡すコマンドが「存在しないファイル」を指す原因になるからです。コピーした直後に貼って、末尾まで届いているかを目で確かめる習慣も、一緒につけておくと安心です。
2. エクスプローラーでは、エージェント欄の設定を触ってみる
フォーラムには、エージェント欄の三点メニューから Customization を選ぶと、エクスプローラーへのドラッグが通るようになった、という報告があります。複数の方が「効いた」と書いており、一度効いたあとはエージェント欄を閉じても有効だった、という声もありました。
ただし、これは公式に案内された手順ではありません。報告者の環境でそう動いた、という範囲の情報です。いま思えば、私は慎重になりすぎていたのかもしれません。それでも、公式の説明がない回避策は、大事なデータを動かす作業では使わないことにしています。試すなら、捨ててよいテスト用のファイルで、動きを確かめてからにするのがよいと思います。
3. 画面が固まったら、ウィンドウの再読み込み
表示が出たまま操作を受け付けなくなった場合は、コマンドパレット(Ctrl+Shift+P、macOS では Cmd+Shift+P)を開き、「Developer: Reload Window」を実行します。ウィンドウが読み込み直されるだけなので、プロジェクトの中身は変わりません。
ただし、未保存の編集があると失われることがあります。実行する前に、保存を済ませておいてください。
やらないほうがよいこと
古い版へ戻す、という提案もフォーラムには出ています。報告では v1.18.3 より前に戻せば動く、とされていますが、投稿者自身が「長くは続けられない」と書いています。更新を止めると、ほかの修正も受け取れなくなります。
私は、ドラッグという近道は手放し、パスを渡すという確実な道に寄せるほうを選んでいます。便利さを一つ失う代わりに、毎回の作業が読める形に落ち着くからです。
次にやること
まず、いま使っている版でドロップが通るかを、捨ててよいファイル一つで試してみてください。通らなければ、上の表の一行目から順に、パスのコピーを試していただければと思います。報告スレッドを時々のぞいて、修正の知らせが出ていないかを確かめるつもりです。
エクスプローラー側の拡張機能やエディタの挙動が、ほかにも変わったように感じる方は、2.0 へ上げたら IDE が消えた——設定と拡張を取り戻す前に、手を止めて確かめる4点も、あわせてご覧ください。ターミナル側で別の不具合が疑われるときは、内蔵ターミナルが起動しない・コマンドが通らないときの診断ガイドが切り分けの助けになります。