Antigravity 2.0 がリリースされて、最初に多くの方が困るのが UI の日本語化です。VS Code と同じ感覚で「Japanese Language Pack」をインストールしても、メニューバーは日本語になるのに AI チャットの応答が英語のまま、コマンドパレットは中途半端な英日混在、設定画面のセクション名だけ英語が残る — というあの中途半端な状態に陥ります。
私自身、2014年からアプリ事業をやってきた身で個人開発を続けていて、6サイトのコンテンツ運営で Antigravity を日々使っていますが、リリース直後の数日は「これは設定が間違っているのか、まだ日本語化が完了していないのか」が判別できず時間を溶かしました。結論から書くと、Antigravity 2.0 の日本語化は 3つのレイヤーを独立に設定する必要があります。順番を守れば全てが日本語に統一されますし、用途によっては「ここだけは英語に戻す」運用も合理的だとわかってきました。
ここでは、私が現在の運用で固めた設定一式と、英語表記を意図的に残している箇所、その理由を共有します。
日本語化は3レイヤーで考える
Antigravity 2.0 の日本語化は次の3層に分かれています。それぞれ独立の設定なので、1つだけ設定しても中途半端な状態になります。
- UI 言語パック: メニュー・ステータスバー・タブ・通知の言語
- コマンドパレット辞書:
Cmd+Shift+Pで出るコマンドの表記言語 - AI 応答言語: チャットエージェント・インライン補完・planning ビューでの自然言語応答
1番目だけ設定すると、メニューは日本語になるのに AI 応答は英語のまま。2番目と3番目を忘れると、「日本語っぽい IDE で英語の AI と会話する」という奇妙な体験になります。
UI 言語パックのインストール
最初のレイヤーは VS Code と同じ手順です。Extensions パネルから "Japanese Language Pack for Antigravity" を検索してインストールし、再起動します。
1. Cmd+Shift+X (macOS) / Ctrl+Shift+X (Windows/Linux) で Extensions パネルを開く
2. 検索ボックスに "Japanese Language Pack" と入力
3. 公式提供の "Japanese Language Pack for Antigravity" をインストール
4. Cmd+Shift+P → "Configure Display Language" → "ja" を選択
5. IDE を再起動
ここまでで、メニューバー・サイドバー・ステータスバーが日本語になります。ただし、これだけだとコマンドパレットと AI 応答は英語のままです。
コマンドパレットの日本語化と「あえて英語に残す」選択
2番目のレイヤーがコマンドパレットです。設定 antigravity.commandPalette.language で挙動が変わります。
{
"antigravity.commandPalette.language": "ja",
"antigravity.commandPalette.showEnglishAlias": true
}showEnglishAlias を true にすると、各コマンドの後に元の英語名が括弧書きで表示されます。これは個人的におすすめの設定です。理由は「日本語に翻訳された結果、何のコマンドかわからない」事例が時々あるからです。
たとえば "Toggle Word Wrap" は「単語折り返しを切り替え」と訳されますが、英語のまま打って覚えている人にとっては英語表記が併記されている方が早く到達できます。コマンドパレットは入力した瞬間に絞り込みが動くので、日本語入力に手間取るならば英語のままが効率的、というケースも実在します。
私自身の運用は次のように分けています。
- 普段使うコマンド(Save, Find, Replace, Go to Definition 等): 英語で覚えている
- 月に1回程度しか使わないコマンド(Configure Display Language, Reset Workspace State 等): 日本語の説明が読めた方が確実
showEnglishAlias: true はこの両方を併立させる設定です。
AI 応答言語の指定 — ここが最も忘れられがち
3番目が AI 応答言語です。これを設定しないと、UI は日本語なのにチャットエージェントの応答だけ英語、という違和感の最大の原因になります。
{
"antigravity.ai.responseLanguage": "ja",
"antigravity.ai.codeCommentLanguage": "ja",
"antigravity.ai.planningView.language": "ja"
}3つに分かれているのには意味があります。
responseLanguage: チャットエージェントの返答言語codeCommentLanguage: AI が生成するコードコメントの言語planningView.language: planning ビュー(タスク計画)の表示言語
私の経験では、codeCommentLanguage だけは英語に戻す方が実用的な場合があります。具体的には、チームで共同編集するリポジトリ や OSS として公開する可能性のあるリポジトリ では、コードコメントは英語の方が後で困りません。一方、responseLanguage と planningView.language は日本語にしておく方が断然読みやすいです。
私の6サイトのうち、Lab 系4サイト(Next.js 16)は OSS 化の可能性がほぼないので全部日本語、Lacrima / Mystery の WordPress テーマは将来配布する可能性があるので codeCommentLanguage だけ英語に戻しています。
英語表記が必ず残る3つの箇所
日本語パックを入れても英語のまま残る箇所があります。これは「翻訳漏れ」ではなく、意図的に翻訳されないか、技術的に翻訳が難しい領域です。
- エラーメッセージの詳細部: 「ファイルが見つかりません: ENOENT: no such file or directory」のように、メッセージの後半部(ライブラリやランタイムから直接来る部分)は英語のまま
- コマンド名・設定キー名:
antigravity.ai.responseLanguageのような設定キー自体は翻訳されない(しても困る) - 拡張機能の表示名: 拡張機能自体が国際化対応していないと、その拡張のメニューやステータスは英語のまま
これらを「日本語化が不完全」と捉えるのではなく、「ここは英語のまま運用するもの」と割り切るのが運用上は楽です。エラーメッセージの英語部分はそのままで Web 検索した方が解決が早い、というのが半年使っての実感です。
チャットの中で言語が混ざる時の対処
AI 応答言語を ja にしても、長い会話や複雑なタスクの途中で突然英語に切り替わることがあります。経験上、次の3つが原因です。
- 与えたファイル・コードに英語のコメントが大量に含まれている → AI が「英語の文脈だ」と判断する
- 直前のメッセージで英語のエラーメッセージを貼った → 同じく英語文脈に引きずられる
- システムプロンプト(カスタム設定)が英語で書かれている
対処は、チャットの冒頭または .antigravity/system-prompt.md のようなプロジェクト固有設定で「常に日本語で応答してください。コード以外の説明文・タスク計画・コメントはすべて日本語にしてください」と明示的に指示することです。私のプロジェクトでは、.antigravity/system-prompt.md を git にコミットして全員で共通の言語設定を担保しています。
設定のエクスポートとプロジェクト共有
最後に、これらの設定を別マシンに持っていきたい時の方法です。Antigravity 2.0 では settings sync 経由でも持ち運べますが、私はプロジェクト固有の設定(.antigravity/settings.json)を git に含める方を好みます。
// .antigravity/settings.json (プロジェクトルートにコミット)
{
"antigravity.commandPalette.language": "ja",
"antigravity.commandPalette.showEnglishAlias": true,
"antigravity.ai.responseLanguage": "ja",
"antigravity.ai.codeCommentLanguage": "en",
"antigravity.ai.planningView.language": "ja"
}これをコミットしておくと、別マシンで clone した直後から同じ言語設定で開発できます。私の場合、自宅 Mac と外出先 MacBook で開発環境を行き来する運用なので、git に乗せるメリットは大きいです。
2026年6月の追記 — I/O 2026 後の Antigravity CLI と言語設定
2026年5月19日の Google I/O 2026 で Antigravity 2.0 が正式版として発表され、デスクトップアプリに加えて Antigravity CLI(Go 製で、従来の Node.js ベースだった Gemini CLI を置き換えるもの)が追加されました。CLI ではターミナルから直接エージェントを起動でき、複数のサブエージェントを並行実行できます。
この CLI 環境でも、本文で説明した応答言語の指定はそのまま有効です。GUI の settings.json と同じ考え方で、応答言語を日本語・コードコメントを英語と指定しておくと、ターミナル側のタスク計画やサマリも日本語で返ってきます。私の環境では GUI と CLI で設定がぶれないよう、.antigravity/settings.json を一つの正本として git にコミットし、両方から参照する形に統一しました。
ローカル LLM を併用している場合は、応答言語の挙動がモデル側に引きずられやすくなります。その場合の設定の固め方はAntigravity でローカル LLM(Ollama / LM Studio / Gemma 4)を使い分けるも参考にしてください。
Antigravity 2.0 の日本語化は、設定の階層がやや細かい代わりに、いったん固めれば運用が静かになります。同じ設定の悩みを持っている方の参考になれば嬉しいです。
追記(2026年7月)— アップデート後に言語設定が戻ってしまうとき
Antigravity を更新した直後、UI が英語に戻ってしまう相談をいくつかいただきました。原因のほとんどは設定そのものの消失ではなく、ワークスペース設定がユーザー設定を上書きしていることです。
.antigravity/settings.json を git にコミットして共有していると、別のマシンで開いた瞬間にそのワークスペースの値が優先されます。手元のユーザー設定で日本語 UI を選んでいても、リポジトリ側に英語が書かれていればそちらが勝ちます。
そこで私は、設定を二つの層に分けました。
- ユーザー設定に置くもの: UI 言語(
locale)、フォント、キーバインドなど、その人のマシンに属するもの - ワークスペース設定に置くもの: AI 応答言語、コードコメントの言語など、プロジェクトの成果物に影響するもの
この分け方にしてから、チームで共有しているリポジトリを開いても UI が勝手に切り替わることはなくなりました。個人開発でマシンを2台使い分けている場合も同じ効果があります。
なお、日本語入力そのものが確定できない・変換が乱れるという症状は、言語設定ではなく IME とキーバインドの衝突が原因です。こちらは「Antigravity で日本語入力(IME)の変換が乱れる・確定できない時の対処ガイド」に切り分け手順をまとめています。設定を丸ごとコンテナに閉じ込めてマシン差をなくす方法は「Antigravity DevContainer 構築ガイド」が参考になるはずです。