壁紙アプリは、個人開発者が収益を上げやすいジャンルのひとつです。ユーザーが毎日触れるスマートフォンのホーム画面に関わるため、ダウンロード数が伸びやすく、一度ダウンロードされると長く使ってもらえる傾向があります。
私が壁紙アプリの開発・運営を始めたのは 2014 年ごろです。当時は手動でコードを書き、デザインも試行錯誤していました。2025 年末から Antigravity を本格的に活用するようになり、同じアプリでも改修のスピードと質が大きく変わりました。この記事は、Antigravity を使って約 6 ヶ月で収益を約 3 倍にするまでの記録です。
出発点:どのアプリで何が課題だったのか
対象にしたのは、iOS 向けの壁紙アプリです。月間アクティブユーザーは数万規模で、AdMob による広告収益が主な収入源でした。
課題は 3 つありました。
① 広告の eCPM が伸び悩んでいた
バナー広告を画面下部に表示するだけの実装で、インタースティシャル広告やリワード広告を活用していませんでした。
② App Store 評価が 3.8 と中途半端
低評価レビューの多くが「壁紙の設定方法が分からない」という UX 問題でした。コードを直せば解決できる問題でしたが、手が付けられていませんでした。
③ ASO(App Store 最適化)がほぼ手付かず
App Store のスクリーンショットとテキストを更新していなかったため、検索での表示機会を失っていました。
Step 1:AdMob 広告配置の改善(Antigravity 活用)
最初に取り組んだのは、広告配置の改善です。Antigravity に現在の実装を読み込ませ、改善案を出してもらいました。
# AGENTS.md に記載した改善方針
## 現在の実装
- バナー広告: 画面下部(GADBannerView)
- 収益: [実績値] eCPM $0.85
## 目標
- インタースティシャル広告を壁紙プレビューから設定画面への遷移時に挿入
- リワード広告で「プレミアム壁紙を一時的に無料で使える」UX を作る
- バナーのサイズを adaptive banner に変更
## 制約
- 広告頻度は UX を損なわない範囲に制限(最低 3 分に 1 回)
- iOS 16 以降の privacy manifest に対応
Antigravity が生成した実装で特に参考になったのは、リワード広告のタイミング設計でした。
// Antigravity が提案した RewardedAd ロジック(概略)
class WallpaperViewController: UIViewController {
private var rewardedAd: GADRewardedAd?
private let rewardedAdUnitID = "YOUR_REWARDED_AD_UNIT_ID"
func showPremiumWallpaperWithReward(wallpaper: Wallpaper) {
guard let rewardedAd = rewardedAd else {
// 広告がロードされていない場合は通常の制限を表示
showPremiumLockView(wallpaper: wallpaper)
return
}
rewardedAd.present(fromRootViewController: self) { [weak self] in
// リワード付与:このセッション中にプレミアム壁紙を1枚閲覧可能にする
self?.unlockPremiumWallpaperTemporarily(wallpaper: wallpaper)
}
}
private func unlockPremiumWallpaperTemporarily(wallpaper: Wallpaper) {
// UserDefaults に解放したアイテムを記録(セッション単位)
var unlockedItems = UserDefaults.standard.array(forKey: "sessionUnlocked") as? [String] ?? []
unlockedItems.append(wallpaper.id)
UserDefaults.standard.set(unlockedItems, forKey: "sessionUnlocked")
// プレミアム壁紙を表示
showWallpaperDetail(wallpaper: wallpaper)
}
}この実装で、ユーザーは「広告を見ることで、お気に入りのプレミアム壁紙を試せる」という体験になります。強制的な広告と異なり、ユーザーが「見る」という能動的な選択をするため、不満が出にくいです。
結果(3 ヶ月後)
- AdMob eCPM: $0.85 → $2.10(+147%)
- 広告収益全体: 約 2.1 倍
バナーの eCPM 単体より、リワード広告の単価が高いため、全体の収益が大きく伸びました。
Step 2:UX 改善でレビュー評価を上げる
「壁紙の設定方法が分からない」という低評価レビューへの対応です。Antigravity を使い、壁紙設定のウォークスルー(初回起動時のチュートリアル)を実装しました。
Antigravity に「iOS で壁紙を設定するまでの UX ガイド。初めて使うユーザーが迷わないステップバイステップのウォークスルーを実装してください」と指示したところ、以下の流れを提案してくれました。
- 壁紙を長押し → 「これを壁紙に設定」のコーチマークを表示
- 写真ライブラリへの保存 → iOS の「保存」ダイアログが出ることを事前告知
- ホーム画面での確認方法 → テキストと図解で表示
実装時間は Antigravity を使って約 2 時間でした。手動で書いていたら 1 日以上かかった作業です。
結果(2 ヶ月後)
- App Store 評価: 3.8 → 4.4(+0.6)
- 「設定方法が分からない」レビュー: ほぼゼロに
評価が上がったことで App Store のアルゴリズムでの表示順位も改善し、オーガニックダウンロードが増え始めました。
Step 3:ASO でオーガニック流入を増やす
App Store のスクリーンショットとテキストの最適化です。Antigravity を使って、競合アプリのキーワード分析と、自アプリのスクリーンショット改善案を生成しました。
テキスト(アプリの説明文)については、Antigravity に「壁紙アプリの App Store 説明文。日本語・英語でそれぞれ最適化したバージョンを生成してください。検索キーワードとして[壁紙・ホーム画面・おしゃれ・iPhone・無料]を自然に含めること」と指示しました。
スクリーンショットについては、Antigravity を使って「スクリーンショットに載せるキャッチコピー」を複数パターン生成し、どのパターンがクリック率に影響するかを App Store Connect の A/B テスト機能(プロダクトページ最適化)で検証しました。
結果(3 ヶ月後)
- オーガニックダウンロード: 1.8 倍
- ランキングキーワード数: 3 語 → 12 語
「壁紙」「ホーム画面 壁紙」「おしゃれ 壁紙」などの主要キーワードで検索上位に入るようになりました。
Step 4:IAP(アプリ内課金)の設計見直し
最後に取り組んだのは IAP の設計です。もともと「プレミアムパック買い切り ¥120」だけでしたが、Antigravity に設計を相談しながら、次の構成に変えました。
| プラン | 価格 | 内容 |
|---|---|---|
| 無料 | ¥0 | 無料壁紙のみ、広告あり |
| 個別パック | ¥250 | テーマ別パック(15〜20枚)買い切り |
| プレミアム | ¥480/月 | 全壁紙・広告なし・毎週追加 |
| プレミアム(年払い) | ¥2,980/年 | 同上(月換算 ¥248) |
この設計は、Antigravity に「壁紙アプリのマネタイズ設計。月額サブスク vs 買い切りのどちらが最適か、競合アプリの実態を踏まえて提案してください」と依頼して得た提案をベースにしています。
実装はStoreKit 2 を使い、Antigravity がサーバーサイドレシート検証のコードも生成してくれました。
結果(2 ヶ月後)
- サブスクリプション収益: IAP 全体の 68%
- 買い切りパックの平均購入点数: 1.8 パック/ユーザー
6 ヶ月の総括
改善前後の収益比較です。
| 施策 | 収益増加への寄与 |
|---|---|
| AdMob 広告最適化 | +110% |
| レビュー改善 → ASO 効果 | +40%(間接的) |
| ASO(ダウンロード増) | +45% |
| IAP 再設計 | +80% |
単純な足し算にはならないので合計の 3 倍は実感値ですが、各施策が相互に作用して全体の収益が大きく改善しました。
Antigravity を使って分かったこと
個人開発者として一番実感したのは、「やりたかったけど手が付けられていなかった課題に着手できるようになった」という変化です。
広告配置の改善も、UX チュートリアルの実装も、ASO テキストの最適化も、以前は「重要だとは分かっているが、時間がかかる」という理由で後回しにしていました。Antigravity を使うと、「Antigravity に依頼する → 自分でレビューして調整する」という流れになるため、実装のハードルが大幅に下がります。
壁紙アプリに限らず、「UI の改善」「テキストの最適化」「広告フォーマットの追加」など、個人開発者がつい後回しにしがちな施策を素早く実行できることが、Antigravity の最大の価値だと感じています。