5月の Google I/O 直後、私は自分のプランを見直すことになりました。AI Ultra($100/月)という中間プランが突然追加され、最上位プランは値下げ。それまで「Pro で足りるか、最上位に上げるか」の二択だった判断軸が崩れたからです。
複数のリポジトリでエージェントを並列に走らせる日は上限に当たり、エディタ補完中心の日はほとんど消費しない。Antigravity の使用量はこのように日によって大きく振れるので、プラン選びは「平均」ではなく「上限に当たる頻度」で考えるのが実務的です。ここからは、2026年6月時点のプラン構成と、どこで線を引くかの判断材料を順に整理します。
なお、料金とプラン名は改定が続いています。本文の数字は 2026年6月時点のもので、契約前には Antigravity 公式サイト で最新の価格をご確認ください。
2026年6月時点のプラン構成
Antigravity 単体の課金ではなく、Google AI サブスクリプションの階層に紐づく形が基本です。I/O 2026 で Antigravity 2.0 が公開された際にプラン構成も改定されました。
| プラン | 月額(米ドル) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 無料枠 | $0 | 評価・学習用。上限は低め |
| Google AI Pro | $20 | 個人開発の標準ライン |
| AI Ultra | $100 | I/O 2026 で追加。Pro 比で約5倍の上限 |
| 最上位 Ultra | $200 | 従来 $250 から値下げ。ヘビーユース・業務利用向け |
ポイントは2つあります。まず、AI Ultra($100)の追加で「Pro では足りないが $200 は出せない」という層への受け皿ができたこと。次に、旧来の Gemini CLI / Code Assist が 6月18日に提供を終了し、CLI 利用も Antigravity CLI とこのプラン階層に一本化されたことです。
無料枠でどこまで動くか
無料枠は「Antigravity がどういうツールか」を確かめるには十分です。エディタとしての基本機能、単発のエージェント実行、コード補完。このあたりは触れます。
ただし、エージェントにタスクを任せて待つ使い方を始めると、無料枠の上限には早い段階で当たります。私の体感では、エージェントへの依頼を数回続けた時点で「今日はここまで」になる日が多く、継続的な開発の道具としては想定されていない印象です。
逆に言えば、導入判断のための1〜2週間の評価期間としては機能します。クレジットカード登録なしで試せるので、まず無料枠で自分の使い方を観察してから課金を決める順番をお勧めします。
Pro($20/月)で足りる人
判断基準はシンプルで、エージェントを並列で走らせるかどうかです。
次のような使い方なら、Pro で足ります。
- エディタでの補完・リファクタリングが中心
- エージェントへの依頼は1日数回、1本ずつ直列で
- 待ち時間に別のエージェントを起動することはまれ
私自身、1つのプロジェクトに集中して直列で作業する日は、Pro の上限に当たった記憶がほとんどありません。日中に断続的に使う個人開発のペースなら、$20 が標準ラインと考えてよいと思います。
注意点は、上限に当たったときの体験です。リセットまで作業が止まるため、納期前にエージェント依存の作業を詰め込むと、止まった時間がそのまま損失になります。月に何度もこれが起きるようなら、次の Ultra を検討する段階です。
AI Ultra($100/月)の損益分岐
AI Ultra は Pro 比で約5倍の上限です。差額は月 $80。これを「上限到達で止まる時間」と引き換えにできるかが分岐点になります。
考え方の手順はこうです。
- 直近2週間で、上限に当たって作業が止まった回数を数える
- 1回あたりの「待ち or 別作業への切り替えコスト」を時間で見積もる(私の場合は30分前後)
- 止まった時間 × 自分の時間単価が月 $80 を超えるなら Ultra 圏
並列エージェントを日常的に使う場合は、ほぼ確実に Ultra 圏に入ります。Antigravity 2.0 は複数エージェントの並列オーケストレーションが中核機能で、3〜4本を同時に走らせると消費は直列時の数倍になります。並列運用を前提にワークフローを組むなら、最初から AI Ultra を選ぶほうが、上限を気にして並列を諦めるより生産的です。
最上位 Ultra($200)は、終日エージェントを回し続ける業務利用や、チームでの共有を想定した規模感です。個人開発で最初からここを選ぶ必要はまずありません。値下げ($250 → $200)はありましたが、まず AI Ultra で頭打ちを確認してからで遅くないはずです。
クォータの不透明さと付き合う — 1週間の実測手順
率直に書くと、現状の Antigravity は「残りどれだけ使えるか」の見える化が弱いです。上限の正確な数値は公表されておらず、モデルや負荷状況で変動しているように見えます。公式ドキュメントを探すより、自分の使い方で実測するほうが早いというのが、数ヶ月使ってきた結論です。
やり方は簡単で、上限に当たった瞬間だけ記録します。
# 上限に当たったらターミナルで1行(agents= はそのとき並列で走らせていた本数)
echo "$(date '+%m/%d %H:%M') hit-limit agents=2" >> ~/antigravity-usage.log1〜2週間も続けると、自分のパターンが数字で見えてきます。
- 週に0〜1回しか当たらない → Pro のままで問題なし
- 並列を増やした日に限って当たる → 並列日の頻度次第で AI Ultra
- ほぼ毎日当たる → AI Ultra へ。それでも当たるなら最上位を検討
プラン変更は月単位でできるので、「繁忙期だけ Ultra に上げて、落ち着いたら Pro に戻す」という運用も現実的です。
上限を遠ざける使い方
プランを上げる前に、消費そのものを減らす余地もあります。実際に効果があったものを3つ挙げます。
既定モデルを使い分ける。 Antigravity 2.0 の既定エンジンは Gemini 3.5 Flash で、定型的なコード生成やリファクタリングはこれで十分こなせます。重い推論が必要な設計判断のときだけ上位モデルに切り替える。逆に全部を上位モデルでやると、同じ作業量でも消費が大きく変わります。
依頼を具体的に書く。 「この関数を直してください」より「入力が 0 より大きければ『正』、0 なら『ゼロ』、負なら『負』を返すように三項演算子で書き換えてください」のほうが、やり直しが減るぶん総消費は小さくなります。曖昧な依頼を投げて出力を捨てるのが、いちばん高くつくパターンです。
軽いタスクをローカルに逃がす。 分類・整形・短い要約のような軽い処理は、ローカルで動かす Gemma 4 に任せるとクォータを消費しません。設定手順は Gemma 4 を Antigravity で動かす — Ollama 接続の設定とローカル/クラウドの使い分け にまとめてあります。
6月18日の Gemini CLI 終了と料金面の注意
もう一つ、2026年6月固有の注意点があります。旧 Gemini CLI / Code Assist 拡張は 6月18日で無料層・Pro・Ultra いずれの利用も終了し、Antigravity CLI へ移行します。
移行自体に追加費用はかかりませんが、旧 CLI の使用感を前提にクォータ運用を組んでいた場合、移行後は消費の感覚が変わる可能性があります。CLI 中心で使ってきた方は、移行後の最初の1週間を前述の実測期間に充てると、プラン判断がぶれません。2.0 前後の変更点は Google Antigravity 2026年5月アップデート — 新機能と変更点まとめ で整理しています。
まず1週間、数えてから決める
プラン選びの結論は人によって違いますが、決め方は共通です。今日から1週間、上限に当たった回数と、そのとき何本並列で走らせていたかだけを記録してください。その数字があれば、$20 と $100 のどちらが安いかは自分で計算できます。
料金は今後も動くはずです。数字が変わっても「上限に当たる頻度で決める」という軸は変わらないので、この記事の手順だけ手元に残していただければ十分です。プラン選びの参考になれば幸いです。