「Google Antigravity vs Cursor vs Bolt、結局どれが速いのか」——この問いに答えるため、同じアプリを 3 つのツールで作り、実際に数値を測りました。
ツール比較記事はたくさんあります。ただ、多くは「得意不得意を列挙する」形で終わっていて、「実際の開発で何分かかるのか」「月にいくらかかるのか」という数字が出てこないものが多いです。この記事はその数字にフォーカスします。
比較した内容
テスト課題: シンプルな Todo アプリ(認証あり・データ永続化あり)を各ツールで実装
具体的な要件は次の通りです。
- ユーザー登録・ログイン(メール認証)
- Todo の CRUD 操作
- リアルタイム更新
- モバイル対応(レスポンシブ or React Native)
このくらいの複雑さが、「ツールの実力が分かる最小構成」だと判断しました。簡単すぎると差が出ず、複雑すぎると環境差が大きくなりすぎます。
Google Antigravity — 実測結果
開発時間: 約 38 分(初回セットアップ含む)
Google Antigravity は「AGENTS.md によるコンテキスト設計」と「Planning Mode での設計フェーズ」が最大の強みです。要件を伝えると、実装前に構成を提案してくれます。
# AGENTS.md への要件記述例
## プロジェクト: Todo アプリ
- 認証: Firebase Auth(メール)
- DB: Firestore
- フロントエンド: Next.js + Tailwind
- デプロイ: Firebase Hosting
## 制約
- 外部ライブラリは最小限に
- TypeScript strict mode
この事前設計が機能したため、実装中の「やり直し」はほぼゼロでした。生成されたコードは型定義もエラーハンドリングも含まれており、そのまま動きました。
生成コードの品質観察点:
- TypeScript 型エラー: 0 件
- 認証フローのバグ: 0 件(ログインの redirectAfterSignIn が正しく設定)
- レスポンシブ対応: 自動的に実装済み
コスト: Google AI Studio の無料枠内で完了(今回の作業量では追加課金なし)
Cursor — 実測結果
開発時間: 約 52 分
Cursor は IDE としての使いやすさと、コードを「書きながら修正する」インタラクションが得意です。既存コードの修正や補完は 3 ツールの中で最も自然なエディタ体験です。
ただし、今回のような「白紙から作る」タスクでは、Antigravity より細かい指示が必要でした。認証フローについて、「Firebase Auth の signInWithRedirect を使うか signInWithPopup を使うか」を聞いてくることがあり、その都度判断が必要でした。
生成コードの品質観察点:
- TypeScript 型エラー: 2 件( minor、すぐ修正可能)
- 認証フローのバグ: 1 件(モバイルブラウザでの redirect 問題)
- レスポンシブ対応: 基本的なブレークポイントは設定済み、細かい調整は必要
コスト: Cursor Pro は月 $20。API 超過なし。
Bolt — 実測結果
開発時間: 約 29 分
Bolt が今回最速でした。プロジェクトの生成が非常に速く、StackBlitz 上でそのまま動作確認できるのは大きな利点です。
ただし、速さにはトレードオフがあります。
生成コードの品質観察点:
- TypeScript 型エラー: 8 件(型を
anyで回避している箇所が複数) - 認証フローのバグ: 1 件(セッション管理の不備)
- レスポンシブ対応: 基本レイアウトは適切
Bolt が生成するコードは「動く最小構成」が優先されています。本番環境に持っていく前に、型の精査とエラーハンドリングの追加が必要になる場合があります。
コスト: 無料プランで今回の作業は完了。有料プランは月 $20〜。
比較まとめ
| 項目 | Google Antigravity | Cursor | Bolt |
|---|---|---|---|
| 開発時間 | 38分 | 52分 | 29分 |
| 型エラー数 | 0 | 2 | 8 |
| 認証バグ | なし | 1件 | 1件 |
| 月額コスト目安 | 無料〜 | $20 | 無料〜$20 |
| 向いている用途 | 設計から実装まで一貫 | 既存コードの修正・補完 | 素早いプロトタイプ |
結論:ユースケース別の推奨
Google Antigravity を選ぶべき場面: 設計段階から一貫して使いたい場合、特に AGENTS.md を活用した中〜大規模プロジェクトで威力を発揮します。生成コードの品質を優先するなら、現時点での私の第一選択です。Google エコシステム(Firebase、GCP)との組み合わせでは他ツールより明らかに精度が高いです。
Cursor を選ぶべき場面: 既存のコードベースがあり、AIアシストを受けながら修正・拡張したい場合に最適です。エディタの使い心地は 3 ツールの中で一番自然で、VSCode の使用感に近いです。
Bolt を選ぶべき場面: 「動く画面をすぐに見せたい」プロトタイプ作成や、アイデア検証のフェーズで価値を発揮します。本番コードとしてそのまま使うには追加の品質管理が必要ですが、スピードは群を抜いています。
私がプロジェクトの初期フェーズで使うのは Bolt(アイデア検証)→ Google Antigravity(設計と実装)→ Cursor(細かい修正)という組み合わせです。「どれか一つ」ではなく、フェーズによって使い分けることで、それぞれの強みが活きます。