◉ANTIGRAVITY LABEN
記事一覧/Antigravity 基本
◉ Antigravity 基本/2026-05-23上級

Antigravity から Unreal Engine プロジェクトを操作する — インスタレーション制作で見えた実装パターン

Antigravity 2.0 のエージェント機能を Unreal Engine プロジェクトに接続して、Blueprint と C++ の両方を編集しながらインスタレーション作品を組み上げた実例から、現実的な役割分担とハマりどころを整理します。

antigravity464unreal-engineart-installationagentkit13workflow41

✦ プレミアム記事

最近、Unreal Engine 5.5 で組んでいるインスタレーション作品の Blueprint と C++ の往復作業を Antigravity に任せるようになってから、検証サイクルが目に見えて短くなりました。私が取り組んでいるのは、来場者のいる空間でセンサー入力に応じて描画がリアルタイムに変わる展示作品で、実装の中心はゲームエンジン上のリアルタイム描画と、入力に対する振る舞いの設計です。表現そのものは自分の手で詰めますが、その土台となるコードの往復には、個人開発でアプリを作り続けてきた延長で Antigravity を組み込むようになりました。私自身、展示の現場で実際に動かす機材を相手にしながら、この分業のかたちを少しずつ調整してきました。

Antigravity 2.0 をエージェントとして導入してから、Unreal プロジェクトに対する操作の射程が一段広がりました。ただし、ゲームエンジン特有のアセット構造・Blueprint バイナリ・コンパイル時間の壁があり、純粋なウェブ開発と同じ感覚で投げると詰まります。私が実際の展示作品の制作で踏んだ失敗と、現時点で安定して回せている実装パターンを、エージェント側のプロンプト設計とプロジェクト構成の両面から書きます。

まず、Antigravity が Unreal プロジェクトで触れる範囲を正確に把握する

Antigravity は基本的にテキストファイルベースでプロジェクトを操作します。Unreal Engine のプロジェクトに含まれるファイルは、テキストで触れるものとバイナリのものに分かれており、エージェントに任せられる範囲はこの構造に縛られます。

触れる側に入るのは、.uproject ファイル(JSON)、Config/ 配下の .ini ファイル、Source/ 配下の C++ ソース(.h / .cpp / .Build.cs)、Plugins/ 内のメタデータ、Shaders/ 内のシェーダコード(USF / HLSL)、.gitignore などの管理ファイル群です。これらはエージェントが直接読み書きしてコミットできます。

触れない側に入るのは、.uasset と .umap(マップ)、Blueprint のバイナリ部分、テクスチャ・サウンド・モーションキャプチャ等のメディアアセットです。Antigravity から直接編集はできません。これらに対しては、Editor 内での操作を前提とした「指示書」を出させて、私がエディタで反映する分業になります。

この線引きを最初にプロジェクトルートの AGENT_SCOPE.md に書いておくと、エージェントが暴走して .uasset を書き換えようとする事故を防げます。私の運用では、.antigravityignore で .uasset と .umap を明示的に除外し、Antigravity に「これらは触らない、変更が必要なら指示書を _agent_instructions/ に出力する」と宣言させています。

# .antigravityignore — Unreal プロジェクト向け推奨設定
*.uasset
*.umap
Content/**
Saved/
Intermediate/
DerivedDataCache/
Binaries/
*.pdb
 
# Antigravity が無視せず編集してよいテキスト資産
!Source/**
!Config/**
!Shaders/**
!*.uproject
!.gitignore
!AGENT_SCOPE.md

Content/ 全体を除外したうえで、Source/ Config/ Shaders/ を ! で復活させる構成です。バイナリアセットに触れさせない一方、コードと設定は自由に編集できる状態を維持できます。

Blueprint と C++ の使い分けをエージェント側に指示する

Unreal の作法として、ゲーム挙動の試作は Blueprint で素早く、安定したコアロジックは C++ で実装する、という二層構造が一般的です。Antigravity に作業を任せる場合、この使い分けをプロンプトで明示しないと、安易に Blueprint Function Library を呼び出す手抜き実装が混ざります。

私は、AGENT_SCOPE.md の中で次のような役割分担をエージェントに明文化しています。

新規アクター・新規コンポーネントの「骨格」は C++ で書き起こす。Blueprint からは C++ の関数を呼び出す形にします。一時的な数値調整・マテリアルパラメータの実験は Blueprint 側で行う想定で、C++ には UPROPERTY(EditAnywhere) を多めに張る。マルチプレイ同期や保存処理など、後から差し替えにくいロジックは必ず C++ で実装させる。

このルールを徹底するために、エージェントに新規クラスを生成させるときのプロンプトテンプレートを _agent_prompts/new_actor.md に置いています。

# 新規アクター生成プロンプト
 
役割: あなたは Unreal Engine 5.5 プロジェクトの C++ 実装担当エージェントです。
 
## 必須ルール
1. アクターは C++ クラスとして `Source/<ProjectName>/Public/` と `Private/` に作成する
2. 公開すべきプロパティには必ず `UPROPERTY(EditAnywhere, BlueprintReadWrite, Category="Installation")` を付与
3. Blueprint から呼び出される関数には `UFUNCTION(BlueprintCallable)` を付与
4. ヘッダのインクルードは前方宣言を優先し、`.cpp` 側で `#include` する
5. 新規 `.h` / `.cpp` を追加した後、`<ProjectName>.Build.cs` の依存モジュールに追加が必要かを必ず確認する
 
## 出力
- 生成したファイルの diff
- Editor 側で必要な操作(ブループリント派生クラスの作成、コンポーネント配置等)の手順書

このテンプレートを通すと、エージェントが C++ で骨格を作って、Editor 側でやるべき操作を _agent_instructions/ に手順書として落とす、という流れが安定します。私の今期の作品では、新規アクターを 12 種類追加しましたが、すべてこのテンプレート経由で進めて、後から「Blueprint と C++ の責務が混ざっている」と作り直したケースはゼロでした。

✦

ここまでお読みいただきありがとうございます。

この記事の続きを読む

この先には、実装コードやベンチマーク結果など、実務でお役に立てる内容をご用意しています。このサイトは広告を掲載しておらず、サーバーや開発にかかる費用はメンバーの皆様のご支援で成り立っています。もしお役に立てていましたら、ご支援いただけますと大変ありがたいです。

この記事で得られること
✦Antigravity が Unreal プロジェクトで触れる範囲・触れない範囲のリアルな線引き
✦Blueprint と C++ の使い分けを Antigravity 側のプロンプトで指示するパターン
✦アート展示の現場で「再現性」を担保するためのプロジェクト構成と Git 戦略
Stripe による安全な決済 · いつでもキャンセル可能
✦

この記事を購入する

この先の内容をすべてお読みいただけます。一度のご購入で、いつでも何度でもアクセスできます。このサイトは広告を掲載しておらず、皆さまのご支援がサーバー費用などの運営を支えています。

または
メンバーシップなら全記事が読み放題 →
シェア

お読みいただきありがとうございます

Antigravity Lab は広告なしで運営しており、サーバー費用などの運営コストはメンバーシップのご支援で賄っています。実装コード・ベンチマーク・本番設計パターンなど、実務でお役立ていただける記事を毎日更新しています。もし読んでよかったと感じていただけましたら、ぜひご覧ください。

  • ✦コピー&ペーストで使える実装コード付き
  • ✦毎日新しい上級ガイドを追加
  • ✦¥580/月 または ¥1,480 の永久アクセス
メンバーシップを見る →

関連記事

◉ Antigravity 基本2026-10-03
Antigravity の Deny list は、自分のシェル履歴から作り始めます
エージェントにターミナルを任せる前に Deny list へ入れる最初のコマンドを、自分のシェル履歴を数えて決める方法。履歴を集計する短いスクリプトと、効いているかを使い捨てリポジトリで確かめる手順をまとめました。
◉ Antigravity 基本2026-09-15
エージェントが理由を残さず終わるとき、読ませたページの文字コードを疑っています
ReadURL に渡したページが原因で、Antigravity のエージェントが Agent execution terminated だけを残して終わることがあります。文字コードを宣言しない古いサイトに当たったときの切り分けと、先に取得して渡す運用への切り替え方を書き残します。
◉ Antigravity 基本2026-08-26
読み取りが自動承認になったレビューモードで、ワークスペースの範囲を決め直す
Antigravity CLI 1.1.20 でレビューモードの読み取りが自動承認になりました。承認が減った代わりに何が読める状態になったのかを、実際の作業ツリーで数えた記録です。