UI のバグを説明したくてスクリーンショットをチャットに貼り付けたのに、AI が画像に一切触れずにテキストだけで応答を返してくる。この現象に戸惑ったことがある方は少なくないのではないでしょうか。私も Antigravity を使い始めた頃、Figma のデザインを貼ってレイアウト修正を頼んだら「画像は確認できませんでしたが…」と前置きされて、がっくりきた記憶があります。
結論から言うと、画像がチャットに表示されていることと、AI が画像を「読めている」ことはイコールではありません。表示されているのに無視される、というパターンが意外と多いのです。ここでは画像を貼り付けても反応がない時に切り分けるべき 6 つのポイントを順番に見ていきます。
まず確認する — 今選んでいるモデルはマルチモーダル対応ですか
最初に疑うべきは、画像そのものや Antigravity 側ではなく、チャットで選択しているモデルです。Antigravity はモデルを自由に切り替えられますが、マルチモーダル(画像認識)に対応していないモデルを選んでいると、画像は貼り付けられるものの応答には反映されません。
チャット下部のモデルセレクタで選択中のモデル名を確認してください。Gemini 3 Pro や Gemini 2.5 Pro などは画像を読めます。一方、LM Link 経由で接続しているローカル LLM(例えばテキスト専用の Gemma 2 2B など)や、軽量モデルを選んでいる場合は画像が無視されます。
私は普段 Gemini 3 Pro をデフォルトにしていますが、トークン節約のために Flash 系に切り替えた日に限って画像を貼る、という失敗を何度か経験しました。画像を使うセッションは意識的に Pro 系のモデルに戻すのがおすすめです。
画像のフォーマットとサイズが受け付けられる範囲に収まっているか
次に見るのは、貼り付けた画像自体です。Antigravity が内部で利用している Gemini API は、主要フォーマット(PNG / JPEG / WebP / HEIC / HEIF)をサポートしていますが、実際の運用では落とし穴があります。
- HEIC 画像の扱いに注意: iPhone で撮影した写真を macOS 経由でペーストすると、内部で JPEG に変換されないままアップロードされ、解釈が安定しないことがあります。事前に JPEG か PNG に変換してから貼り付けると確実です。
- 解像度の上限: 極端に大きい画像(横幅 4K 超など)はアップロードで失敗することがあります。1920px 幅程度にリサイズしてから貼り付けるのが安全です。
- 透過 PNG のトリミング問題: 透明背景の PNG は AI が「何もないように見える領域」と誤解する場合があります。不要な余白をトリミングすると認識精度が上がります。
コードや UI の細部を確認してほしい時は、スクリーンショットを撮った後に macOS の Preview やWindows の Snipping Tool で関心領域だけをクロップしてから貼り付けると、AI の注意が迷わず集中します。
クリップボード経由か、ドラッグ&ドロップか、ファイル添付か
貼り付けの「経路」によって挙動が変わる点も見逃せません。Antigravity のチャット入力欄に画像を取り込む方法は 3 つあります。
- クリップボードからのペースト(⌘V / Ctrl+V)— 最も手軽ですが、OS のクリップボード状態に依存します
- ドラッグ&ドロップ — 画像ファイルを直接チャット欄にドロップ
- 添付ボタン(クリップアイコン)からのファイル選択 — 最も確実
ペーストがうまく機能しない場合、クリップボードのデータが画像バイナリではなくファイルパス参照になっている、または別フォーマットに変換されているケースがあります。特に Windows で ShareX や Snagit など画像キャプチャツールを経由した時に起こりやすい現象です。ペーストで反応がない時は、まず画像をデスクトップに保存して、ドラッグ&ドロップか添付ボタンから読み込ませてみてください。 これだけで解決することが多いです。
OS 別に注意すべきポイント
同じ Antigravity でも OS によって小さな違いがあります。
- macOS: システム環境設定でスクリーンショットのデフォルト形式を確認してください。
defaults read com.apple.screencapture typeでフォーマットが確認できます。heicになっていたらpngに変更しておくとトラブルが減ります - Windows: クリップボードを他のツール(Microsoft PowerToys など)が横取りしていないか確認します。PowerToys の「高度な貼り付け」機能が有効だと、Antigravity のペーストをインターセプトしてしまう場合があります
- Linux / WSL2: X11 と Wayland の違いでクリップボードの画像データが失われる事例があります。Wayland 環境では Antigravity を Native ビルドで実行するか、添付ボタン経由で読み込むのが安全です
画像が実際に AI に届いているかを確認する方法
「本当に画像を見ているのか?」を手早く検証する、私がよく使うプロンプトがあります。
この画像に写っている色を上から順に 3 つ、16 進カラーコードで教えてください。
画像が見えていない場合は「画像は読み取れませんでした」とだけ答えてください。
画像が正しく認識されていれば具体的な色名とカラーコードが返ってきます。見えていない場合は「画像は読み取れませんでした」と素直に返すので、モデル側で無視されているのか、あなたの指示が抽象的すぎるだけなのかを切り分けられます。
もう一つのコツは、画像の中に短いテキスト(例: ボタンのラベル、エラーメッセージの冒頭)が含まれている箇所を指定して読み上げてもらうことです。OCR がきちんと動いているかどうかで、画像がバイナリとして届いているかが一発で分かります。
それでもダメなら — 回避策としての文字情報とスクショ URL
全てを試しても画像が無視される場合、発想を変えて「画像を諦める」のも実用的な選択肢です。
- UI のレイアウト問題なら、該当する HTML/CSS をコピペして渡す 方が、AI にとっては構造が明確で指示が通りやすいことも多いです
- エラーメッセージのスクショなら、本文をテキストとしてコピー して貼る方が確実です
- どうしても画像で説明したい場合は、Gyazo や Imgur などにアップロードして 公開 URL を渡す 方法もあります。Antigravity から外部 URL の画像をフェッチできる場合、クリップボード経由よりも安定することがあります
個人的には、「画像を貼る前に、もしこれが文字で表現できるなら文字で渡した方が速くて正確」と考えるようにしています。スクショはあくまで最終手段と捉えると、AI との会話がぐっとスムーズになります。
次にやってみてほしいこと
画像ペーストで詰まった時は、まずモデルを Gemini 3 Pro 系に切り替えて、先ほどの「色を 3 つ教えて」プロンプトで検証してみてください。これだけで原因が「モデル側」なのか「貼り付け経路」なのかが 30 秒で判明します。
Antigravity のマルチモーダル活用をさらに深掘りしたい方には、Antigravity × Gemma 4 マルチモーダル実装ガイドや、Antigravity LM Studio 接続トラブル解決ガイドも合わせて読むと、マルチモーダル周りの理解が立体的になります。
画像認識の基礎から本格的に