取り組みの背景
Antigravity を使いこなすことで、開発生産性は数倍に向上します。しかし、単に使うだけでなく、正しい使い方を知る点が肝心です。
ワークスペース設定(5つのTips)
Tip 1:プロジェクト構造を事前に計画する
開発を始める前に、プロジェクト構造を明確にしておくと、Antigravity が一貫性のあるコードを生成しやすくなります。
my-app/
├── src/
│ ├── components/ # UI コンポーネント
│ ├── pages/ # ページレベルコンポーネント
│ ├── services/ # API/外部サービス統合
│ ├── hooks/ # カスタムフック
│ ├── utils/ # ユーティリティ関数
│ ├── types/ # TypeScript 型定義
│ └── styles/ # グローバルスタイル
├── tests/ # テストファイル
└── docs/ # ドキュメント
Tip 2:README に技術スタックを記載
# プロジェクト名
## 技術スタック
- **言語**: TypeScript
- **フレームワーク**: Next.js 14
- **UI**: Tailwind CSS
- **状態管理**: React Context + useReducer
- **データベース**: PostgreSQL + Prisma
- **テスト**: Vitest + React Testing Library
## コーディング規約
- ESLint, Prettier で自動フォーマット
- Functional components のみ
- 関数型プログラミング推奨Antigravity はこれを参照して、あなたのプロジェクト標準に合わせたコード生成が可能になります。
Tip 3:システムプロンプトを作成して保存
開発開始時に、Antigravity 用のシステムプロンプトを作成し、ファイルとして保存しておきます。
# .antigravity/system-prompt.md
あなたは 10 年経験の TypeScript/React 開発者です。
以下のルールに従ってください:
1. TypeScript strict mode
2. 関数型コンポーネント
3. Error boundaries を実装
4. アクセシビリティを考慮(WCAG 2.1 AA)
5. 本番対応のコードのみTip 4:既存のコードスタイルを定義ファイルで管理
.eslintrc.json や .prettierrc を作成して、コードスタイルを明確にします。これにより、Antigravity が生成するコードのフォーマットが一貫します。
Tip 5:プロジェクト用語集を作成
あなたのプロジェクト特有の用語や概念をドキュメント化します。
# プロジェクト用語集
- **ユーザー**: 登録済みのアカウント所有者
- **リソース**: プロジェクト内で管理されるアイテム
- **キャッシュ戦略**: In-memory キャッシュを使用、TTL は 5 分
- **エラーハンドリング**: 常に try-catch で実装プロンプト最適化(5つのTips)
Tip 6:段階的にリクエストを分割する
大規模なリクエストを 1 つのプロンプトで送らず、段階的に分割します。
# ❌ 悪い例:全部一度に
> 完全なデータベース設計、API 実装、フロントエンド UI、テスト、デプロイスクリプトを作成してください
# ✅ 良い例:段階的に
> 段階 1: Prisma スキーマを設計してください
> 段階 2: API ルートを実装してください
> 段階 3: UI コンポーネントを作成してください
Tip 7:参照ファイルを明示的に指定
既存のコードを Antigravity に認識させるために、@ 記号でファイルを参照します。
このコンポーネントを @components/ui/Button.tsx のスタイルに合わせて実装してください
Tip 8:制約条件を明確に記述
実装すべき制約を明確に伝えます。
# 実装制約
## パフォーマンス
- バンドルサイズ: < 100KB
- First Contentful Paint: < 1.5秒
- Lighthouse スコア: > 90
## ブラウザ対応
- Chrome/Edge: 最新 2 世代
- Safari: 最新 2 世代
- Firefox: 最新 2 世代
## アクセシビリティ
- WCAG 2.1 Level AA 準拠
- キーボードナビゲーション対応Tip 9:エラーケースを具体的に指定
単に「エラーハンドリングを実装」と言わず、具体的なエラーシナリオを列挙します。
# エラーハンドリング要件
## ネットワークエラー
- タイムアウト: 30秒以上でタイムアウト
- 接続失敗: リトライを 3 回まで自動実行
- 不正なレスポンス: ユーザーに警告を表示
## ビジネスロジックエラー
- 不正な入力: バリデーションエラーを表示
- 権限不足: 403 エラーを返す
- リソース未検出: 404 ハンドリングTip 10:出力形式を指定する
コードの形式や出力方法を明確にします。
# 出力フォーマット
- 言語: TypeScript
- ファイル名: ProductCard.tsx
- Export: export default 関数コンポーネント
- JSDoc コメント: 全パブリック API に記載エージェント管理(3つのTips)
Tip 11:複数のエージェントで役割を分ける
複雑なプロジェクトでは、複数のエージェント(会話スレッド)で役割を分けます。
エージェント 1: フロントエンド UI 開発
エージェント 2: バックエンド API 開発
エージェント 3: データベース設計
このように分けることで、各エージェントが特定の領域に集中でき、より良い出力が得られます。
Tip 12:エージェント間でコンテキストを共有
エージェント間での一貫性を保つため、共有ドキュメントを作成します。
# 共有コンテキスト
## API インターフェース定義
- 認証: Bearer token
- レスポンス形式: JSON
- エラー形式: { error: { code, message } }
## データベース設計
- User, Post, Comment テーブル
- 主キー: UUID
- タイムスタンプ: createdAt, updatedAtTip 13:エージェント内でチェックポイントを設定
長い会話では、定期的に検証ポイントを設定します。
> これまでのコードで問題はないでしょうか?
> 修正が必要なところはありますか?
> (エージェントの回答を確認)
> 次のステップに進みます...
キーボードショートカットと効率化(2つのTips)
Tip 14:テンプレートコマンドを作成
よく使うリクエストのテンプレートを保存します。
# テンプレート:React コンポーネント生成
コンポーネント名: [INPUT]
Props インターフェース:
- [INPUT]
Tailwind スタイル: [INPUT]
テスト: [INPUT]
このテンプレートをエディタのスニペットに登録して素早く使用
Tip 15:実装内容をチェックリスト化
完了確認用のチェックリストをプロンプトに含めます。
# 実装チェックリスト
- [ ] TypeScript 型定義完了
- [ ] エラーハンドリング実装
- [ ] ユーティリティ関数でロジック分離
- [ ] Unit test 実装
- [ ] Storybook stories 作成
- [ ] アクセシビリティ確認
- [ ] パフォーマンス最適化ファイル管理とバージョン管理(3つのTips)
Tip 16:生成されたコードに来源を記録
AI 生成コードにコメントで来源を記録します。
/**
* @generated by Antigravity
* @date 2026-03-10
* @prompt "React コンポーネント ProductCard"
*/
export default function ProductCard() {
// ...
}Tip 17:生成コードの修正を別ブランチで行う
Git の branch を使い分けます。
# Antigravity で生成されたコードを一度作成
git checkout -b feature/generated-components
# 必要な修正・改善を加える
git add .
git commit -m "feat: customize generated components"
# 本流にマージ
git checkout main
git merge feature/generated-componentsTip 18:廃止予定のコードを記録する
実装の重大な変更が必要な場合、@deprecated を記録します。
/**
* @deprecated Use useNewHook instead
* @removal 2026-04-01
*/
function useOldHook() {
// ...
}デバッグとテスト(2つのTips)
Tip 19:生成コードを自分で検証してから使用
Antigravity が生成したコードは、必ず自分で検証してから本番コードに含めます。
# コード検証チェックリスト
- [ ] ロジックは期待通りか動作確認
- [ ] パフォーマンステストで問題なし
- [ ] 自動テストで 80% 以上のカバレッジ
- [ ] エッジケーズを手動テスト
- [ ] セキュリティ脆弱性はないか確認
- [ ] 他の開発者に見直してもらうTip 20:失敗ケースから学ぶ
Antigravity の出力が期待と異なった場合、原因を分析してプロンプトを改善します。
# 失敗分析テンプレート
## 何が起きたのか?
[Antigravity が生成したもの、期待と異なる点]
## 根本原因
[プロンプトが不足していた内容、曖昧だった点]
## 改善方法
[プロンプトをどのように修正するか]
## 次のアクション
[次回からどうするか]カテゴリ別まとめ
ワークスペース設定
- プロジェクト構造を事前計画
- README に技術スタック記載
- システムプロンプト作成
- コードスタイル定義
- プロジェクト用語集作成
プロンプト最適化
- リクエストを段階的に分割
- 参照ファイルを明示的に指定
- 制約条件を明確記述
- エラーケースを具体指定
- 出力形式を指定
エージェント管理
- 複数エージェントで役割分担
- エージェント間でコンテキスト共有
- チェックポイント設定
キーボード効率化
- テンプレートコマンド作成
- チェックリスト化
ファイル・バージョン管理
- 生成コードに来源記録
- 修正を別ブランチで行う
- 廃止予定コードを記録
デバッグ・テスト
- 生成コードを検証してから使用
- 失敗ケースから学ぶ
実践シナリオ:これら Tip を活用した開発フロー
準備フェーズ(Tip 1-5)
1. プロジェクト構造を計画
2. README に技術スタック記載
3. .antigravity/system-prompt.md 作成
4. ESLint, Prettier 設定
5. 用語集ドキュメント作成
開発フェーズ(Tip 6-15)
6. 機能をステップに分割
7. 既存ファイルを参照
8. 制約条件を明記
9. エラーケースを定義
10. 出力形式を指定
11-15. 複数エージェント、テンプレート活用
検証フェーズ(Tip 16-20)
16. 生成コードに来源記録
17. 修正を別ブランチ化
18. @deprecated 記録
19. コード検証チェック実施
20. 失敗から学んでプロンプト改善
まとめ
これら 20 のベストプラクティスを実践することで、Antigravity は単なるコード生成ツールから、プロフェッショナルな開発アシスタントへと進化します。
重要なのは、これらを「ルール」としてではなく、「ガイドライン」として柔軟に活用することです。あなたの開発スタイルに合わせて、カスタマイズして使ってください。
継続的に改善と試行を繰り返すことで、Antigravity を使いこなし、開発生産性を最大化できます。