はじめに
AI IDEを使い始めたとき、「思ったコードが出てこない」「意図とは違う実装をされた」と感じたことはないでしょうか。AI IDEの出力品質は、プロンプト(指示文)の書き方に大きく左右されます。
同じツールでも、指示の出し方ひとつで結果はまったく別物になります。本記事では、Antigravityを例に、AI IDEのポテンシャルを最大限に引き出すためのプロンプト設計テクニックを7つご紹介します。
1. コンテキストを先に伝える
AI IDEに作業を依頼するとき、最初に「背景」を伝えることが重要です。いきなり「ログイン画面を作って」ではなく、プロジェクトの構成、使用フレームワーク、対象ユーザーを先に説明しましょう。
たとえば、「Next.js 15のApp Routerを使ったSaaSアプリで、既存のshadcn/uiコンポーネントを使用しています。メールとパスワードによるログインフォームを作成してください」のように伝えると、AIは既存のコードベースに合った実装を生成しやすくなります。
Antigravityでは、プロジェクト内のファイルを自動的にコンテキストとして読み込む機能がありますが、明示的に背景を伝えることで精度がさらに向上します。
2. 「何をしないか」も明示する
AIは指示された通りに動こうとしますが、暗黙の制約は理解しにくいものです。「外部ライブラリは追加しないで」「既存のAPI構造は変更しないで」「CSS-in-JSは使わないで」など、やってほしくないことを明記すると、不要な修正や依存関係の追加を防げます。
特にリファクタリングの依頼時には、「動作を変えずに可読性だけを改善して」のように、変更のスコープを限定する指示が効果的です。
3. 出力形式を具体的に指定する
「テストを書いて」だけではなく、「Vitestを使ってユニットテストを書いて。describe/itブロックで構造化し、各テストケースにコメントで目的を記述して」のように、出力の形式まで指定しましょう。
コードレビューを依頼する場合も同様です。「セキュリティ、パフォーマンス、可読性の3つの観点からレビューし、それぞれ改善点を箇条書きで出力して」とすれば、構造化された有用なフィードバックが得られます。
4. 段階的に依頼する
複雑な機能を一度に依頼すると、AIが全体像を見失いがちです。大きなタスクは段階的に分割して依頼しましょう。
最初に設計を相談し、次にデータモデルを定義、その後APIエンドポイントを実装、最後にフロントエンドを構築する——このようにステップを分けることで、各段階の品質を確認しながら進められます。
Antigravityのマルチエージェント機能を使えば、各ステップを異なるエージェントに割り当てることも可能です。
5. 既存コードを参照例として渡す
「このファイルと同じスタイルで」「この関数のパターンに従って」と既存コードを参照例として示すと、AIはプロジェクトの規約に沿ったコードを生成しやすくなります。
これはドキュメント作成にも応用できます。既存のREADMEやAPIドキュメントを参照例として渡し、「同じフォーマットで新しいエンドポイントのドキュメントを追加して」と依頼すれば、統一されたドキュメントが得られます。
6. 思考プロセスを要求する
「実装する前に、まずアプローチの選択肢を3つ挙げて、それぞれのメリットとデメリットを説明して」のように、AIに考える過程を出力させることで、最適な実装を選択できます。
特にアーキテクチャの判断が求められる場面では、AIにいきなりコードを書かせるのではなく、まず設計の根拠を説明させることで、後から問題が発覚するリスクを減らせます。
7. フィードバックループを回す
AIの出力が完璧でないことは当然です。重要なのは、出力に対して具体的なフィードバックを返し、改善を繰り返すことです。
「エラーハンドリングが不足しているので、ネットワークエラーとバリデーションエラーを区別して処理するように修正して」のように、何がどう不十分で、どう変えてほしいかを具体的に伝えましょう。
曖昧なフィードバック(「もうちょっと良くして」など)ではAIも改善の方向性を掴みにくいため、可能な限り具体的に指摘することが大切です。
まとめ
AI IDEは強力なツールですが、その性能を引き出すにはプロンプトの工夫が不可欠です。コンテキストの提示、制約の明示、段階的な依頼、参照例の活用、思考プロセスの要求——これらのテクニックを組み合わせることで、AIとの協業がより生産的になります。
Antigravityをはじめとする最新のAI IDEは日々進化していますが、「的確な指示を出す力」は、どのツールを使う場合にも共通して求められるスキルです。ぜひ日々の開発に取り入れてみてください。